「看護師だったんだから」と、義父の介護を嫁に押し付ける
原久美子さん(仮名・55歳)。82歳になる義父が亡くなりました。久美子さんは3年間、付きっきりで介護をしたといいます。
――義父は、脳梗塞の後遺症で要介護4の認定を受けていました。日常生活のほぼすべての介助が必要で、肉体的にも精神的にも大変でしたね
厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』で要介護度別にみた「同居の主な介護者」の介護時間の構成割合をみていくと、要介護4では「ほとんど終日」が41.2%、「半日程度」が20.0%、「2~3時間程度」が9.4%。久美子さんの言葉通り、あらゆる場面で介助が必要になることから、要介護4の在宅介護の場合、付きっきりのケースが多くなります。大きな介護負担から、施設への入居も多くなるケースです。それにも関わらず、在宅での介護を貫いた理由は?
――ただ利用されたんです。私、元々看護師をしていたので
義父は月20万円ほどの年金を受け取っていました。また3,000万円近くの貯蓄もあり、さらに持ち家。常に介護のプロが寄り添ってくれる施設に入居することも、何ら問題のないことでした。しかし夫と義弟、義妹の3人が話し合った結果、白羽の矢が久美子さんに当たったのです。
――看護師だったんだから、介護なんてお手の物だろ? お願いだ頼むよ
「親の面倒をみるのは長男の嫁の務め」という考えも根強い地域です。さらに義実家が近所ということもあるのでしょう。結婚したときに退職しましたが、元看護師という肩書も都合がいいことでした。
――相続のときにお金が減るのも嫌だったんでしょ。私にすべてお願いしたら、貯金と家はきょうだい3人で分ける。ひとり1,000万円くらいにはなるでしょうから
「なぜ、私が? 看護と介護は違うし……」といいたいところですが、こんなところで揉めていては義父が困るだけ。渋々ながら引き受けることにした久美子さん。ほぼ義実家に住み込みで、義父の介護を続けること3年。その間、夫も義弟も義妹も、たまに「調子はどう?」と見舞いにやってくる程度で、一度も手を貸すことはなかったといいます。
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