それでも購入したい場合…まだ「検討の余地がある」といえる方法
リクルートの「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、住宅ローンの契約形態は、単独名義が65%である一方、「世帯主と配偶者のペアローン」が34%と、2018年以降もっとも高くなっています。さらに、既婚・共働き世帯を総年収別に見ると、総年収1,000万円以上の夫婦では実に77%が「世帯主と配偶者のペアローン」を選択しています。
国税庁の調査によると、男性の平均給与は569万円です。Aさんの年収は750万円ですので、たしかに平均に比べ年収は多いほうです。しかし、先述のように都内の住宅価格が高騰していることから、Aさんが望む「資産性の高い物件」を購入する場合には、単独でローンを組むのではなくペアローンを利用することをおすすめします。
現在、Aさんの奥様は子育て中のため時短勤務を選択し、年収は200万円となっていますが、今後子育てが落ち着くなどして復職した場合、夫婦の年収を合算した世帯年収を1,250万円と仮定すると、SBI新生銀行の住宅ローンシミュレーションで試算した借入可能額は1億750万円となり、1億円を超える住宅が視野に入ります。
インフレ下において、インフレ率より低い金利で借入をしておくと資産形成時有利に働きます。住宅の資産価値はさまざまな要因で変動するため断言できないものの、しばらくインフレが続くと仮定すると、資産形成において住宅という資産を保有することは悪い選択ではありません。
したがって、「ペアローン」を利用した住宅の購入は検討する価値がありそうです。ただし当然、過度な借入をして購入することはレバレッジをかけて不動産投資しているようなものですので、おすすめできません。
「値が張っても資産性の高い物件」か「価格を抑えた築古リノベ物件」、どちらを選ぶにせよ、奥様の時短勤務が終わってから慎重に検討してみてはいかがでしょうか。
井上 ヨウスケ
ファイナンシャルプランナー