ライフステージの変化にともなって「持ち家」を検討する人は多いでしょう。都内に住む年収750万円のAさんと妻は、将来的な売却を視野に入れた「資産価値の高い物件」と「価格を抑えたリノベ物件」とで悩んでいました。YouTubeチャンネル登録者数10万人以上の井上ヨウスケFPが、Aさんの相談をもとにマイホーム購入検討時の注意点を解説します。※相談者の情報はプライバシー保護のため一部変更しています。
年収750万円の37歳サラリーマン「23区内・駅チカのマイホームが欲しい」→FP「難しい。でも」…一般的な会社員が“億ション”を手に入れる方法【FPの回答】 (※写真はイメージです/PIXTA)

年収750万円で都心の物件購入は「フルローン」でも“非現実的”

金融機関が借入可能額を決める際の基準はいくつかありますが、そのひとつに「返済負担率」というものがあります。

 

返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合のこと。一般的に、返済負担率の上限は30%〜35%程度とされています。

 

Aさんの年収は750万円です。よって、仮に返済負担率を35%とした場合、262万5,000円となります。もし、金利0.5%で35年ローンを組んだ場合、借入可能額はおおよそ8,500万円の計算です。

 

つまり、返済負担率が35%でも1億円以上する住宅を購入することは不可能でしょう。そもそも、ローン返済だけでひと月あたり21万8,750円となります。さらに、固定資産税に加えて、マンションの場合、管理費や修繕積立金が必要です。現在の収入でこれら固定費の増加に耐えることができるのか、そうまでして借りることが現実的なのか……一度冷静に考える必要があるでしょう。

 

実際の借入可能額は「もっと少ない」可能性も…Aさんの収入でシミュレーションした結果

ここまで返済負担率を例に解説しましたが、実際はもっと少ない金額しか借り入れることができない可能性もあります。金融機関のホームページ上にあるシミュレーターを利用するなどして、より具体的な借入額を試算することが可能です。

 

たとえば、「じぶん銀行」の住宅ローンシミュレーションでは、年収750万円、借入期間35年、借入金利0.479%(変動金利)で試算してみたところ、借入可能額は5,470万円となりました。

 

また、「SBI新生銀行」の住宅ローンシミュレーションで試算した場合には、借入可能額は6,450万円となりました注)

注) SBI新生銀行では金利入力欄なし。

 

もちろん金融機関によって異なる部分はありますが、やはり、23区内・駅チカといった「資産性の高い物件」は、Aさんの年収だけでは難しい可能性が高いです。