高齢になった親の介護を、子ども1人で担うのはたいへんな負担です。そこで「高齢者施設」に入れようと考えたとき、その高額な入居一時金や月々の利用料に驚き、躊躇してしまう人も少なくありません。そこで、芸人の安藤なつ氏と介護ジャーナリストの太田差惠子氏による共著『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)より、経済的なゆとりがなくても入居可能な施設を紹介します。

親を「老人ホーム」に入れたい。でも…親の年金では無理→お金にゆとりがなくても入居可能な唯一!?の施設【安藤なつが介護ジャーナリストに聞く】
任せっぱなしはNG…施設入居後も、親への「マネジメント」を
CHECK!
□施設入居は介護の終わりではない
□目を光らせつつ、施設と円滑な関係を築く
安藤:施設へ入居したら、子どもの役目はあまりなくなりますか?
太田:そんなことはありませんよ。介護は「ひとつのプロジェクト」。施設への入居はプロジェクトのミッションのひとつであって完了ではありません。施設へ入居しても、子どものマネジメントは続きます。
安藤:そうでした。施設へ入ったら、どうマネジメントすればいいですか?
太田:まず1つ目は「精神的なケア」。特に施設に慣れるまでの間はできるだけ訪問し、足りないものはないか、施設の暮らしになじめているかなど要望やグチを丁寧に聞きましょう。
2つ目は「施設との窓口」です。親から聞き取った話の中で、必要だと思うことは施設に伝えます。逆に施設から連絡が入り、対応しなくてはいけないこともあるでしょう。
いずれにしても、入居したからといって施設に任せっぱなしにしないことが、提供される介護の質を担保することにつながります。
安藤:お金は子どもが管理したほうがいいですか。
太田:入居時の親の状況にもよりますが、親本人が管理することが難しければ、子どもが代行したほうがいいですね。
安藤:施設に入居するときは身元保証人が必要と聞きました。
太田:身元保証人になる家族がいない場合を除くと、一般的には子どものうち1人が身元保証人になります。施設入居後の子どもの役割と重なる部分もありますが、費用の支払い保証、病気の際などの意思決定の代行、逝去手続きや荷物の引き取りなどについて責任を持つ必要があります。
安藤:確かに、入居してからもいろいろやることはありますね。
太田:入居者の家族で構成する「家族会」や、家族を招待する行事がある施設も多いです。そうした機会には積極的に参加してスタッフと良好な関係を築くことが、親がよいケアを受けられることにつながります。