居住目的だけでなく、投資目的でマンションの所有を検討している方もいるのではないでしょうか。マンションを所有するうえで理解しておかなければならないのが、毎年の支払いが生じる「固定資産税」についてです。この記事では、固定資産税の概要や具体的な計算方法、マンションも対象となる固定資産税額の軽減措置などを解説します。マンションの所有によって、固定資産税の予想外の支出負担に悩むことのないよう、基礎知識を身に付けておきましょう。

 

そもそも固定資産税とは?

固定資産税とは、土地や建物などの固定資産に課せられる税金のことです。「土地」には、田・畑・宅地・池沼・山林などが該当し、「建物」には、戸建てやマンションを含めた住家・店舗・工場・倉庫などが該当します。

 

固定資産税を納税しなければならないのは、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している個人または法人です。納税義務者には、毎年4月上旬から6月頃に「固定資産税納税通知書」が届くので、忘れずに内容を確認しましょう。

 

固定資産税納税通知書には、「一括払い用」と「4回の分割払い用」の納税書が同封されています。なお、自治体によって一部納期が異なる場合がある点に注意が必要です。例えば、東京都の場合4回の納期は6月・9月・12月・2月ですが、大阪市の場合は4月・7月・12月・2月となっています。支払方法も自治体によってさまざまで、代表的な方法は現金や口座振替、クレジットカードなどです。納付期限を過ぎると、延滞金がかかるため注意してください。

マンション投資における固定資産税

固定資産税は土地や建物にかかるため、不動産投資でマンションを1棟所有する場合は、マンションそのものと、マンションが建つ土地の固定資産税を支払う必要があります。

 

一方で、区分マンションを1部屋所有する場合は、考え方が少し複雑です。具体的には、建物については、マンションの専有面積に応じて固定資産税がかかります。土地については、マンションが建つ土地全体をマンションの戸数で割った面積に応じて、固定資産税がかかることを知っておきましょう。

固定資産税の計算方法

固定資産税の納税書を見れば、支払うべき固定資産税の額を把握できますが、その計算過程までは記載されていません。固定資産税を計算する際は、「固定資産税評価額」をもとにします。ここでは、固定資産税評価額の概要とともに、固定資産税の計算方法を見てみましょう。

 

固定資産税評価額について

固定資産税評価額とは、固定資産評価基準をもとに算出された、土地や建物の資産価値のことです。固定資産税のほか、「不動産取得税」や「都市計画税」などの各種税金の計算に用いられます。

 

固定資産税評価額のおもな調べ方は、次のとおりです。

 

・管轄の役所で固定資産課税台帳を閲覧する

・管轄の役所で「固定資産評価証明書」を取得する

・マンション購入時に不動産会社に問い合わせる

 

「固定資産評価証明書」とは、固定資産課税台帳に登録されている固定資産について、所有者や固定資産評価額などを証明した書類です。役所の窓口のほか郵送でも取得できますが、詳しい取り扱い方法については、事前に各自治体のホームページを確認してください。

 

なお、土地や建物の固定資産税評価額は3年周期で更新され、これを「評価替え」といいます。

 

固定資産税の計算式

固定資産税は、次の計算式で求めます。

 

土地の固定資産税額:土地の固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)

建物の固定資産税額:建物の固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)

 

したがって、マンションを所有する方が支払うべき固定資産税額は、土地の固定資産税額と建物の固定資産税額の合計金額です。

 

 

8,000万円のマンションの固定資産税はいくら?

ここで、マンション1棟を8,000万円で購入・所有した場合の固定資産税額を計算してみましょう。

 

計算の前提条件は、次のとおりとします。

 

土地の固定資産税評価額:3,000万円

建物の固定資産税評価額:5,600万円(8,000万円(再調達価格)×70%とする)

 

上記の数値を先述した計算式に当てはめると、土地の固定資産税額は「3,000万円×1.4%=42万円」、建物の固定資産税額は「5,600万円×1.4%=78万4,000円」です。

 

後述する固定資産税の軽減措置については考慮しておらず、あくまで概算ではあるものの、土地と建物の合計で120万4,000円の固定資産税を毎年支払う必要があります。

マンションも対象となる固定資産税額の軽減措置

固定資産税にはいくつかの軽減措置があります。ここでは、マンションも対象となる3つの軽減措置について解説します。

 

(1)住宅用地の場合

土地に居住用マンションが建っている場合は、土地の固定資産税評価額が6分の1または3分の1に減額される特例を適用可能です。減額割合は、次のように面積によって異なります。

 

▼200平方メートル以下の部分

特例の種類…小規模住宅用地の特例

減額割合…6分の1

 

▼200平方メートルを超える部分

特例の種類…一般住宅用地の特例

減額割合…3分の1

 

仮に、400平方メートルの住宅用地があったとすると、200平方メートル分には小規模住宅用地の特例、残りの200平方メートル分には一般住宅用地の特例が適用されます。

 

さらに、マンションを1棟所有する場合は、「戸数×200平方メートル以下の部分」までが小規模住宅用地の特例の対象となるため、固定資産税額が大幅に軽減されるでしょう。

 

(2)新築マンションの場合

新築マンションの場合は、築5年まで固定資産税が2分の1に減額される特例があります。一例として、横浜市の場合、この特例を適用するためには次の要件を満たさなければなりません。(2023年5月現在)

 

・2024(令和6)年3月31日までの新築分

・専用住宅の場合、40平方メートル以上280平方メートル以下(※)

・併用住宅の場合、居住部分の割合が2分の1以上でかつ、居住部分の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下

・3階建て以上でなおかつ耐火構造住宅・準耐火構造住宅である

参考:新築住宅に係る固定資産税の減額制度|横浜市

 

※マンションなどの区分所有家屋の床面積は「専有部分の床面積+一棟の専有部分の床面積の合計に対する、所有する専有部分の床面積の割合に応じて各戸に割り振った共用部分(廊下や階段室等)の床面積」で判定します。また、賃貸マンションなどについても独立的に区画された部分ごとに区分所有家屋に準じた方法で判定します。

引用:新築住宅に係る固定資産税の減額制度|横浜市

 

特例の適用上限は、マンション一戸当たり、床面積120平方メートルまでとなります。また、現時点で示されている特例の適用期限は、2024(令和6)年3月31日までです。

 

なお、具体的な要件などについての詳細は、所有する物件が属する市町村へお問い合わせください。

 

(3)認定長期優良住宅の場合

「長期優良住宅」とは、長期にわたり、良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅のことです。より具体的には、大きく分けて次の5つの措置が講じられている住宅をいいます。

 

・長期使用できる構造や設備を有している

・居住環境へ配慮している

・住戸面積が一定以上ある

・維持保全の期間や方法を定めている

・自然災害へ配慮している

 

マンションにこれらの措置が講じられていることを示すには、劣化対策・耐震性・省エネルギー性・バリアフリー性などの観点から、各種基準を満たさなければなりません。そのうえで、必要書類を添えて管轄の役所に申請し、長期優良住宅としての認定を受ける必要があります。なお、認定を受けるためには、マンションの着工前に申請が必要となるため注意しましょう。

 

マンションが長期優良住宅に認定された場合は、前項「(2)新築マンションの場合」で紹介した固定資産税の軽減措置の適用期間を、築5年から築7年までに延長できます。

 

 

不動産投資の成功には固定資産税を含めた支出の把握が大切

固定資産税は、マンションを所有している限り毎年支払わなければなりません。先述した計算結果からもわかるとおり、マンションは価格が高いため、標準税率が1.4%でもまとまった税額になるでしょう。また、都市部にあるマンションなら、固定資産税のほかに都市計画税もかかります。

 

さらに、マンション購入による不動産投資では、メンテナンス費用や毎月のローン返済も発生するケースが多いでしょう。これらの支出を甘く見積もってしまうと、家賃収入が得られるとはいえ資金繰りが苦しくなってしまいます。

 

したがって、不動産投資を成功させるためには、固定資産税をはじめとする支出の把握が重要です。

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まとめ

固定資産税は、以下のとおりマンションの所有形態によってかかり方が異なります。

 

▼マンションを1棟所有する場合

土地・建物全体が対象

 

▼区分マンションを1部屋所有する場合

土地:マンションの戸数で割った面積分が対象

建物:専有面積分が対象

 

今回紹介したシミュレーションのように、8,000万円程度のマンション1棟を購入・所有した場合、固定資産税が土地・建物合計で100万円を超えることもあるかもしれません。ただし、条件によっては以下のような軽減措置が適用されるため、併せて覚えておきましょう。

 

▼住宅用地

土地の固定資産税額が6分の1または3分の1に減額

▼新築マンション

築5年まで固定資産税が2分の1に減額

▼認定長期優良住宅

新築マンションの軽減措置を築7年まで延長

 

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【監修者】

名前:金子 賢司

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。

保有資格:CFP

 

※本記事は「COZUCHI magazine」で、2024年04月10日に公開された記事の転載です。