孫疲れ解消のためにできることは?【FPの助言】

鈴木さんが段々と感じるようになった「孫疲れ」を解消するために、今後はどうすべきなのでしょうか。まずは、自分たちができることを「体力面」と「経済面」に分けて整理しておくといいでしょう。

健康寿命という言葉をご存じでしょうか。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことをいいます。

2019年において、健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっています。あくまで平均であり、鈴木さん夫婦は現在も心身ともにお元気ではあるものの、段々と自分たちの体力面にも配慮して、年末年始の家族との時間を楽しむようにするのも大事なことです。

孫の帰った翌日、起き上がれないほどの疲労が残るなら、自分たちの状態をこどもに伝え、掃除や食事の買い出し、準備の協力を依頼することもひとつの選択肢でしょう。こどもたちも、無理をしてまでやってほしいとは思っていないはずです。

段々と体力がなくなっていることを正直に伝えることで、年末年始をもっと楽しく過ごすことができるのではないでしょうか。

経済面では、医療費と介護費は、孫のために使うお金とは別に確保しておきたい費用になります。令和3年に厚生労働省が生涯医療費は約2,700万円と公表しています。生涯医療費とは、生まれてから生涯にどれくらいの医療費が必要になるかを表したものになります。

このうち、約85%は公的医療保険から賄われることになり、約400万円が自己負担額という計算になります。さらに、70歳以降が生涯医療費の約50%を占めるといわれており、必要な金額は約200万円となります。

また、介護費用について生命保険文化センターが行った調査によると、介護に要した費用は、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計は平均74万円、月々の費用が平均8.3万円となっています。

介護にかかった期間は61.1ヵ月(平均5年1ヵ月)としているため、約600万円弱(一時金74万円+月8.3万円×61.1ヵ月)かかる計算となります。

医療費・介護費共に、あくまで平均額となり参考値のため、人によって差がある点には注意は必要です。しかし、将来的にかかる医療費と介護費を念頭に置いたうえで、孫のためにお金を使うほうが、年末年始の孫との時間を不安なく過ごすことができます。