年々上がっていく国民年金保険料。2025年度は2024年度よりも530円高い1万7,510円となる予定です。こうしたなか、年金保険料の支払いを負担に感じる人も増えています。しかし、日本年金機構からの催告状を放置していると“悲惨な末路”を迎えるかもしれません。具体的な事例をもとに、未納を続けた場合の“悲劇”と“救済策”をみていきましょう。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の五十嵐義典CFPが解説します。
甘やかしすぎたな…30歳“出戻り息子”の寝顔を見ながらため息。年金月27万円・貯金2,000万円の60代夫婦、日本年金機構から届いた「赤い封筒」に悲鳴【CFPの助言】
A家のポストに突然届いた「赤い封筒」…差出人は
口では「働け」と息子に説教をしながらも、なんだかんだ3人で過ごせる日々も悪くないと考えていたA夫妻。しかし、そんなA夫妻の“甘い考え”が吹き飛ぶ大事件が。
ある日、母のBさんが家に帰ると、ポストに見慣れない赤い封筒が入っているのを見つけました。見るとCさん宛で、差出人は「日本年金機構」と書いてあります。「大切なお知らせです。必ず開封してください」とのこと。
「こんなのが届いてたんだけど」と夫とCさんに声をかけ開封すると、中身は国民年金保険料の納付を促す「特別催告状」と呼ばれるものでした。Cさんに聞くと、「国民年金保険料を払っていなかった」と言うではありませんか。
「理由を聞かせて」「おい! どういうことだ!」2人は思わずCさんに詰め寄ります。
Cさんはしどろもどろになりながら、未払いの理由について次のように話しました。
「実は古着屋時代、生活が苦しくて……年金機構から何度もハガキ(催告状)が届いていたけど、払えないし、無視していたんだ」
「なんてこと……甘やかした自覚はあったけれど、こんな当たり前のことすら怠るなんて」
あきれたA夫妻は、すぐに対応しなければと、早速Cさんを最寄りの年金事務所に行かせることにしました。
20歳以上60歳未満は「国民年金」に加入する義務がある
20歳以上60歳未満の人は、国民年金の加入義務があります。自分の店を開いて個人事業主となってから、仕事をしていない現在にいたるまで、Cさんはその第1号被保険者にあたります。第1号被保険者になると、毎月1万6,980円の国民年金保険料(2024年度)を払う義務があります。
国民年金の仕組みについて改めて年金事務所で説明を受けたCさんでしたが、困ったように肩をすくめます。
「払えと言われても、働いていないんだからお金がないし、払えないよ……」
収入がないため、当然といえば当然のことかもしれませんが、Cさんのように収入がない人の場合、救済策はないのでしょうか。