気温差は腸にも影響…季節を問わず「腸の砂漠化」に要注意 

腸のために食事や生活習慣に気をつけている人でも、意外と見落としがちなのが水分の摂取です。

多くの人は、飲んだ水のほとんどは大腸へ移動して、便をやわらかくしてくれると思い込んでいますが、実際に便に行くのは飲んだ水のたった2%です。2Lの水を飲んでも、たった40mLしか便には送られないのです。

本来、大腸の中はたっぷり水分を含んだ「泥状」の食物残渣が多くあります。しかし、水分の摂取量が少なかったり、汗の量が多かったり、食物繊維の摂取量が少なかったりすると、大腸内の水分が減少します。

すると泥状であった残渣が固形化し、大腸の中にはびこります。このように残渣が停滞しやすくなった状態を、私は「腸の砂漠化」と呼んでいます。

腸が砂漠化すると便秘が慢性化し、腸の働き自体が衰える「停滞腸」になります。そして排出されない老廃物が有害物質を発生させ、それらが全身をめぐり、不調や病気を引き起こします。お腹の中には常に2〜3Lのガスがたまっている状態となり、腹部の強い不快感が脳神経に伝わり、うつうつとした気持ちを引き起こしてしまうこともあります。

腸の砂漠化は、季節を問わず注意が必要です。夏場は発汗が多くなり、「夏便秘」が増えます。

冬は水分の摂取量自体が減りやすく、冷えも影響して停滞腸が発生しやすくなります。季節の変わり目やエアコンが稼働する時期には、10℃以上の気温の変化や室内と室外の温度差によって、腸の調子が崩れやすくなります。

腸の砂漠化を予防するには、少なくとも1日2L以上の水分を摂るようにしましょう。コップ1杯程度ずつ、分割して飲むのがコツです。


松生 恒夫
松生クリニック
院長