核家族化が進んだ日本で「高齢者施設」は心強い味方です。ただし、高齢者施設にはさまざま種類があるため、用途やプランを慎重に検討しなければ“思わぬ悲劇”を生むことも……。芸人の安藤なつ氏と介護ジャーナリストの太田差惠子氏による共著『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)より、高齢者施設の特徴と選ぶ際のコツをみていきましょう。
認知症の母が〈有料老人ホーム〉に入居「これで安心」と思いきや…わずか1年たらずで「出ていってほしい」と言われた理由【安藤なつが介護ジャーナリストに聞く】
「施設に入居できれば安心」ではない
安藤:でも施設に入居してくれれば、その後は安心ですよね。
太田:そんなことは、ありません。住宅型の施設は要介護度が進むと退去を言い渡されることもあります。
安藤:え! 追い出されちゃうんですか。
太田:フルプランの介護型は、看とりまで行う施設が多いので「終の棲家」となりえるケースが多いです。しかしオプションプランの住宅型は、重い介護が必要な人には対応できない場合もありますから、将来的に住み替えの必要が生じる可能性も考えておいたほうがいいですね。
安藤:住宅型は介護サービスがオプションプランということは、たくさん使うようになったらお金がかかるってことですか?
太田:いいところに気がつきましたね。住宅型の場合、入居した当初は介護サービスの利用料が少ないので費用を抑えられます。でも、要介護度の進行に合わせてサービスを増やしていくと、フルプランの介護型施設と変わらないか、それ以上の費用がかかる可能性もあります。
安藤:ええ~っ! それは落とし穴ですね。
介護型のフルプランだと思ったら…
認知症の母親を有料老人ホームへ入居させ、これで安心と思っていたXさん。ところが1年もたたないうちに施設から「出ていってほしい」と退去を勧告されてしまいました。母親の認知症が進行し対応できないというのです。
改めて入居時の書類を確認したところ、その施設は「住宅型」の有料老人ホーム。母親の状態は、書かれている退去の要件に当てはまるのです。
有料老人ホームは介護付きだと思い込んでいたXさんは、再度、施設探しをすることになりました。
■「退去」と言われる主な理由
1.日常的に医療行為が必要となったとき
2.他の入居者とのトラブルが増えたとき
3.体の変化によって施設での対応が難しくなったとき