自分たちにもしものことがあった時の安心感や、子育て、家事の負担軽減など、親と子それぞれにメリットの多い二世帯住宅。しかし、実際には「後悔している」という話を聞くことも少なくありません。いったいなぜなのでしょうか? 親子の同居や二世帯住宅購入を決断する前に知っておきたい“思わぬ落とし穴”について、事例をとおしてみていきましょう。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが紹介します。
頼むから出ていってくれ…年金月27万円・貯金3,000万円の60代仲良し夫婦、38歳ひとり息子の「一緒に住もう」に歓喜→わずか2年で大喧嘩。それでも同居をやめないワケ【FPの助言】
後日談…A夫妻とC夫妻の“落としどころ”
Aさん親子は物音や育児の方針の違いについて、お互いに我慢をし続けて喧嘩になってしまいました。とはいえA夫妻からすると、可愛いひとり息子と孫にはなかなか強く言えません。他方、C夫妻にとっては、親との同居を解消してしまうと住居費の負担が増え、子育てのために仕事もできなくなってしまいます。このため、二世帯住宅を建てたいま、別居は現実的ではありません。
そこで、今後も同居生活を続けていくために、Aさんたちは話し合いの場を設けることにしました。
「習い事については、せっかくなら家族が教えてあげられないことを体験させたいんです。そろばんや書道は学校でも習うみたいだし、もしよかったらお義母さんが教えてあげてくれないでしょうか?」とDさん。
Bさんは、「そうね、その通りだと思うわ。時代に合わせて教育方針を考えるのも大切よね」と頷きます。
また、Aさんの「仕事のときは仕方ないとしても、頻繁に友人を呼んで騒ぐのはやめてくれないか。夜中に大きな音を出すのは、子供にもよくないだろう」という言葉に、息子のCさんも「確かに、生活に余裕が出てきて少し羽目を外しすぎていたかもしれない。今後は控えるよ」と反省した様子でした。
このように、A夫妻とC家はトラブル解決のため家族会議を重ねつつ、なんとか同居を継続しています。
これらのトラブルを防ぐためには、事前に十分な話し合いと取り決めを行い、お互いの意見や希望を尊重することが重要です。また、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも検討すると良いでしょう。
武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役