頼むから出ていってくれ…同居から2年で大喧嘩のワケ

同居生活を始めてすぐ、Cさんの帰宅が夜遅くであったことから、玄関の出入りの音が気になったAさん。仕事で仕方がないとはいえ、布団に入って寝ようとしているときに玄関や廊下を歩く音で入眠を妨げられることは苦痛です。

また、Cさんは地元に帰ってきたことで学生時代の友人たちを自宅に呼ぶようになりました。本人たちは気を付けているつもりのようですが、お酒が入った複数人の話し声はA夫妻にとって大きなストレスです。

一方、Dさんは育児をサポートしてもらい、仕事に復帰できたのはよかったのですが、育児に対しての方針がBさんと合わないと感じていました。親世代が伝統的な教育方法や価値観を重視する一方で、子世代は現代的な教育法や多様な習い事を重視することが多いようです。

Bさんからは「お習字やそろばんを習わせてはどうかしら?」と推奨されるのですが、Dさんは英会話やプログラミングを習わせたいと考えていました。

夫のCさんにこのことを相談しても、「そういえば俺も子どものころに習わされていたなあ。別にいいんじゃないの。おふくろの言うことを聞いたら月謝を出してくれるかもよ?」とこちらの意向を汲んでもらえません。「もういい! お義母さんには私から話す」と、DさんはBさんに「習い事はこちらで決めます」と伝え、これをキッカケに関係が悪化。

その後も休日や夜間に友人を呼んで騒ぐCさんたちにAさんが「いい加減にしろ! 何時だと思っているんだ!」「もっと静かに過ごせないのか!」と注意。頻度は減ったものの根本的には解決されません。

しびれを切らしたAさんは、Cさんに「頼むから出ていってくれ」と告げますが、「もう孫に会えなくなるけど、いいの?」と言われてしまい、それ以降は冷戦状態。同居からわずか2年ほどで関係は最悪の状況です。

こんなはずでは…A夫妻の“致命的なミス”

A夫婦は可愛いひとり息子と一緒に過ごせることがうれしく、同居したあとの生活について具体的に考えていませんでした。

二世帯住宅での生活はA夫妻にとって、病気や介護の「もしものとき」にすぐ対応してもらえるという安心感や、スマホやパソコンといった子ども世代が得意なIT関係について話を聞けることなど、利点があるのは確かです。

しかし、今回の事例のように、玄関がひとつで動線が近い場合や生活リズムが違う場合のリスク・デメリットについて、もっと慎重に考える必要がありました。

また、親子の関係に結婚相手やその子どもが加わることで家族関係に変化が生じることも予測しておくべきだったでしょう。