食事の用意や通院の介助など、さまざまな場面で高齢者の生活をサポートしてくれるホームヘルパー。しかし、利用できるサービスには制限があることに注意が必要です。今回は「訪問介護」について、芸人の安藤なつ氏と介護ジャーナリストの太田差惠子氏による共著『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)より、詳しくみていきましょう。
「ついでにお願いします」はNG…〈訪問介護〉を利用する前に知っておきたい、ホームヘルパーが“できること・できないこと”【安藤なつ×介護ジャーナリストの対談】
ホームヘルパーにはどんなことでも頼めるの?
□医療的措置が必要なものは頼めない
□要介護者以外の身の回りのお世話は頼めない
安藤:年を取ると、毎日の掃除や洗濯以外でも、「重労働だ!」と感じることが増えていく気がします。たとえば、大掃除とか、そういった家事もホームヘルパーに頼んでもいいものですか?
太田:そう思いますよね。生活援助をやってくれると聞くと、「家事代行」と混同されがちです。
でも、介護保険のホームヘルパーは、お手伝いさんではなく、要介護者の普段の暮らしをサポートすることが目的なので、なんでも頼めるわけではありません。
安藤:そうなんですね。ついついなんでも頼んでしまいそう……。
太田:基本的に、「要介護者の生活に直接必要がないもの」「要介護者以外の人にかかわるサポート」「専門知識を必要とする医療行為」「ケアプランの内容に含まれない援助」については、サポートを受けることができません。
安藤:うーーん、イメージがわかないです。具体的にはどんなことでしょうか?
太田:たとえば、親が2人で暮らしていて、母親は要介護1と認定されて、訪問介護をお願いした場合、母親の食事の用意や洗濯のサポートはしてくれますが、父親の分についてはお願いできません。
安藤:なんと! 「ついでにお願いします」というわけにはいかないんですね。
太田:そうなんです。他にもペットの散歩、庭の草むしり、お金の管理など。1人暮らしの親の話し相手になって欲しい、というような声も聞きますが、話し相手とかお茶のみ相手とかもNGです。
どうしてもお願いしたい場合は、介護保険適用外のサービスとして依頼することになり、その部分は全額実費となります。
安藤:なるほど。わかりました。
太田:身体介護でも、細かな規定があります。たとえば、体位変換はしてくれるけど、床ずれの処置は対象外。通常の爪切りは対応してくれますが、巻き爪など変形していると対応してくれません。どんなケアを受けられるのかは、ケアプランで細かく決められていくので、希望する介護内容を、ケアマネジャーに伝えましょう。
安藤 なつ
メイプル超合金
ヘルパー2級(介護職員初任者研修)
太田 差惠子
介護・暮らしジャーナリスト