世界中で大きな問題となっている食品ロス。環境省によると、日本では、2022年度に約472万トンの食品ロスが発生したと推計されています。食品ロスの課題を解決する方法として、過去の売上データや気象データなどをもとに、最適な生産量や発注量をAIが予測したり、AIで在庫管理を最適化したりといったAI活用が注目されています。そこで今回は、AI活用で食品ロス削減を実現している企業の取り組みを紹介します。
発注数や在庫管理、商品の値引きもAIで…食品ロス削減をAI活用で実現する企業の取り組み サントリー食品インターナショナル提供

足立区が食品ロス削減の実証実験をスタート…全区への展開も期待

立区提供
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企業だけでなく自治体でも、食品ロス削減に向けたさまざまな取り組みが行われています。東京都の足立区では、事業者から発生する食品ロスを削減すべく、AIを活用した実証実験を東京23区で初めて実施。売上や来店数、天候、カレンダー情報などをAIが分析し、来客数や需要を予測することで、仕込みや仕入れを調整する仕組みです。

 

2023年10月にスタートした実証実験は、2025年3月末まで実施予定。なお、「足立区食品ロス削減推進計画」では、2030年度までに食品ロスの発生量を2019年度比(約5,080トン)で21.6%削減することを掲げています。現在は、区内の飲食店や食品小売店4事業者が実証実験に参加。AIシステムによって食品ロス削減に効果があるか実証されれば、全区への展開も検討されています。

フードサプライチェーンにおける食品ロス…コスト削減のためにもAI活用は不可欠

「持続可能な開発目標(SDGs)」ではターゲットとして、2030年までに食品ロスを半減させることを掲げています。フードサプライチェーン全体において、過剰生産や過剰発注、売れ残り、パッケージ破損など、事業者の食品ロスはさまざま。生産コストや廃棄コストを削減するためにも、AIを活用した取り組みは今後も注目されそうです。

 

 

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[プロフィール]

文/渡邊晃子

フリーライター。1983年生まれ。大学卒業後、会社勤務を経て、2010年からフリーランスのライターとして活動。WEB媒体を中心に、エンタメ、ライフスタイル、テック、子育てなどの分野で執筆を行う。