介護サービスを活用して体力的な負担を減らしたくても、今度は「金銭的な負担」が増すため、なかなか利用に踏み切れないという人もいるのではないでしょうか。そこで、介護の金銭的な負担軽減に使える制度を紹介します。芸人の安藤なつ氏と介護ジャーナリスト太田差惠子氏の共著『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)よりみていきましょう。
1万円のサービスを「1,000円」で利用可能! …介護費の負担が激減する“おトク感が半端ない”国の制度【安藤なつ×介護ジャーナリストの対談】
もう、ムリ…となったあなたを助ける「最後の手段」
□生活保護では「介護費」「医療費」も援助
□親子共倒れにならないために、きちんと助けを求める
安藤:かかるお金は公的な保険でなんとかなるということですが、それでも、介護費用が足りなくなっちゃうってこともありえますよね。
太田:子どものその後の人生を守るためにも、介護費用は親本人のお金でまかなうことが前提とお話ししました。ただ、親のお金で足りないなら、もちろん子どもが出すという方法もありえます。
でも、まだ自分の子どもがいて、教育費が、がっつりかかっているタイミングだとしたら、とてもじゃないけど、援助する余裕はないでしょう。住宅ローンに追われている人もいます。
子どもに援助する経済的ゆとりがない場合、親に「生活保護」の申請をすることも検討しましょう。生活保護は、生活に困窮している人に対し、必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
相談や申請は、親の住む自治体の福祉事務所で行います。本人か家族が申請手続きをします。
安藤:生活保護ですか? ちょっと、後ろめたい感じが……。
太田:確かに、子どもには親に対して扶養義務があります。ですがそれは、あくまでも「自分たちの生活を維持したうえで、かつ親の面倒を見るだけのゆとりがある場合に生じるもの」とされています。自分たちの生活を犠牲にしてまで、親の経済支援をすることは法的に求められていません。
私は実際に、生活保護を申請して親の介護をされている人に何人も会っています。その方たちの親はお金の心配をすることなく、きちんと生活を送られています。家計が苦しいのに資金を援助したり、サービスにかかるお金を節約するために、子どもが仕事を辞めて介護をすれば、今度は、間違いなく子どもの人生が破綻します。
安藤:親も自分のために、子どもが犠牲になったら悲しむかもしれないですよね。
太田:そうです。罪悪感を抱く必要はまったくないです。生活保護を申請することで、医療費や介護サービス費用の負担はなくなるので、子どものこれからの人生を守ることができます。子どもは金銭援助以外の自分にできる方法で、親を支えましょう。
安藤:できることは自分たちで行い、でも家族だけで抱え込まずに、助けを求めることが大切ということですね。
安藤 なつ
メイプル超合金
ヘルパー2級(介護職員初任者研修)
太田 差惠子
介護・暮らしジャーナリスト