食が細くなる高齢者こそ、肉を積極的に食べるべき

引き続き、肉食のメリットと、セロトニン、コレステロールについて触れます。より高齢になっていくと、人は気力の落ち込みや意欲の低下が進む傾向にあります。その理由の一つが、たんぱく質不足です。精神状態を安定させるのに大切な幸せホルモンのセロトニンですが、正常に分泌されていると意欲が高まり、不安は弱まり、前向きな日々を送ることができます。


しかし、セロトニンは年齢とともに減少していくので、歳を重ねるほどセロトニンを増やす習慣をするべきです。そこで、おすすめが肉を食べること(たんぱく質摂取)です。セロトニンの原料のトリプトファンはアミノ酸の一種で、豆や乳製品、肉や魚などのたんぱく質に多く含まれています。肉はコレステロールを多く含み、敬遠されがちですが、肉のたんぱく質は吸収率が高いのです。


食が細くなる高齢の方がセロトニンを増やすために肉を食べるのは、非常に理にかなっています。コレステロールは、動脈硬化、心疾患の原因となる「悪者」として知られています。ただ実は、コレステロールが本当に悪者かは、いまだによくわかっていません。


かつて東京都老人総合研究所が、長寿者が多い東京都小金井市の70歳の高齢者を対象に追跡調査を行った「小金井研究」でコレステロール値と死亡率の関係性を調べたところ、死亡率が最も高かったのはコレステロール値が169未満のグループでした。


反対に最も長生きするのは、男性は219まで、女性は220〜249の正常値よりも高めのグループでした。日本人の三大死因はがん、心疾患、脳血管疾患といわれていますが、今の日本では医療技術が大幅に進歩し、心筋梗塞は「死ななくてよい病気」になりつつあります。


そう考えると、日本人の場合は、肉食でコレステロール値を高めてがん予防をしたほうが長寿になります。こうした事情を見ていくと、必ずしもコレステロール値が低いほうが幸せとはいえないように思います。