25歳フリーター息子の懺悔→父親“ニヤリ”のワケ

25歳のAさんは、都内の有名私大に進学したものの、「夢があるんだ」といって卒業後は定職に就かず、飲食店でアルバイトをしながら実家で暮らしています。スタジオ練習やレコーディング等でアルバイトの稼働は限られることもあり、月収は手取り約13万円前後です。

両親は、「息子も成人になったし、自分の人生なんだから30歳までは好きにさせよう」と放任されていたようですが、あるとき息子から、「父さん、ごめん。実は……」と、国民年金保険料を滞納している旨を告げられました。

ショックを受けた父親のBさんが「もう学生じゃないんだから、社会人としての責務くらい果たさないか!」と叱ったところ、息子はバツが悪いのか、部屋から出てこなくなってしまいました。

その晩、妻と相談したBさんは、Aさんの将来や万が一を案じて、今回限り代わりに支払うことに。

現在57歳のBさんは上場企業で部長を務めており、年収は1,000万円超。堅実なBさんは、将来Aさんへ贈与しようと考えていた資金の一部から、Aさんの滞納分を一括で支払いを済ませました。

「とりあえず一件落着だな」とホッとしたBさんに、その後“嬉しいサプライズ”が。なんと、Aさんの滞納分を代わりに支払ったことで、Aさん分の保険料を全額社会保険料控除に使うことができ、自身の課税所得を圧縮することができたのです。

「親不孝の息子だが、これは棚からぼた餅だな……」Bさんは思わずニヤリとほくそ笑みました。

社会保険料の控除を受けられるカラクリ

納税や社会保険料の支払いは、自分自身で行うことが大前提です。しかし、もしも本人の支払いが難しいという場合、本件のように親が代わりに支払うことで、親が節税の恩恵を受けることが可能です。

ただし、社会保険料控除が適用されるのは、「納税者が自己、または自己と生計を一にする配偶者やその親族の社会保険料」になります。今回の事例では25歳のフリーターでしたが、20歳以上となると在学中の大学生も納付対象になります。

先述した「学生納付特例制度」を使って、10年以内に自身で追納することも可能ですが、この場合、保険料が少し割高です。厳密にいうと、保険料の免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に割高な保険料となります。

したがって、親の収支状況に問題がないのであれば、学生納付特例制度を利用するよりも、親が代わりに払ってしまったほうが、親子ともにメリットがあるのです。ただし、代わりに支払う際「前納」する場合は注意が必になります。