大切な老後資金に物価上昇が与える影響は計り知れない

私たちが普段の生活で購入する商品やサービスの価格がどれくらい変動しているか示すのに「消費者物価指数」という指標が用いられます。総務省統計局の公表(注1)によると、消費者物価指数は2020年を100とした場合、2024年6月時点で108.2に上昇しています。そして、今後2024年度から2026年度にかけて物価上昇率は2%程度で推移するとも予想されています(注2:日本銀行経済・物価情勢の展望より)。

公的年金は物価スライドといって賃金・物価の変動率に応じて年度ごとに改定されます(注3)。ここ数年の物価上昇を受け、年金額も増加傾向にあるものの現役世代の負担軽減のため引き上げ率は調整されており、物価上昇に追いついていないのが実情です。

FPがライフプランでシミュレーションしたところ、物価が現状のまま横ばいであれば、大橋さん夫婦が80歳時の貯蓄が約1,100万円、90歳時約1,300万円となります。しかし、もし仮に年2%物価上昇が続くと、家計の年間収支は65歳以降すべてマイナスとなります。そのため貯蓄を毎年取り崩していくことになり、夫婦80歳時の貯蓄は約750万円、90歳時は200万円となることが判明しました(物価スライドは考慮せず)。

大橋さんはFPから告げられたシミュレーション結果に愕然としました。

「老後自由に暮らすために、しんどい思いもして2,000万円貯めてきたのに。物価が上がることがこんなにも家計に響くなんて。一体どうすればいいんだ…」