普段の家事で片付けまで手が回らない、と感じている人も多いのではないでしょうか。『部屋がゴチャゴチャで、毎日ヘトヘトなんですが、二度と散らからない片づけのコツ、教えてください!』(すばる舎)の著者であり、お片づけ習慣化コンサルタントの西﨑彩智氏は、「モノの量」が「家事の量」であり、モノを減らすことが家事の負担を少なくするといいます。詳しくみていきましょう。
「衣替え」の手間はコレで減る
手放せる家事もある
私たちが日常、「やらないといけない」と思っている家事のなかには、手放してよい家事もあると思います。私にとっては、それが「衣替え」でした。面倒なのに、子どもが小さいうちは、子どもの数だけ衣替えの作業が必要になります。
かつては、衣替えシーズンが憂鬱で仕方ありませんでした。自分にとって負担になることは、なるべくならやりたくないもの。
そこで、考えたのは、どうしたら「衣替え」という家事を手放せるか、でした。つまり、季節ごとに出し入れしなくて済む仕組みを考えればよい、ということです。
まず、できるだけ衣類はハンガー掛けでしまうことにしました。
これは、洗濯物を畳む手数を減らすことにもつながって、私にとっては一石二鳥でした。ハンガー掛けにすることで、クローゼットの中身を左右で季節分けできるようになります。気候に合わせて着られなくなった服は反対側に掛けていけばいいので、衣替えは必要ありません。
最近、シーズンレスに着られるものが増えているので、そういう洋服を置いておく場合もハンガー掛けはとても便利です。ハンガーに掛けない服については、収納ケースを前後に分けて対応することにしました。
今、着ているものは引き出し手前に、今、使わない服は引き出しの奥側 に入れ、シーズンごとに前後を入れ替えること で、衣替えの手間が格段に減ります。
季節的に中途半端な時期もありますが、もう着ない、と思う服を後ろの引き出しにしまっていけば、自然と衣替えが終わっていく仕組みです。
ちなみに、衣替えにももちろんメリットはあって、それは、衣類を入れ替えるときに、要・不要 の判断が下しやすいということだと思います。
私にとっては、「衣替えをしない」メリットの 方が大きかったので、「しない」を選択しましたが、衣替えする、しないについては、ご自身や、ご家族にとってメリットが多い方を選択しましょう。
モノの量は家事の量
またもう一点、衣替えを「する・しない」に関わらず、大切なことは衣類の「要・不要」をアップデートしていくことです。
私は「モノの量」=「家事の量」だと思っています。モノが増えると、管理の手間、整理の手間が増えます。だから、モノは多いほど、家事の量が増えるというわけです。衣替えに関しては、個人的には、冠婚葬祭用の服以外は、1年袖を通さなければ手放してしまってよいと思っています。
私がお片づけの相談に乗らせていただいた方で、転職したばかりの女性がいました。その方は、それまでは事務職だったのですが、私と知り合ったときには、保険会社に転職され、営業職としてバリバリ働かれていました。
そうなると、自然と着る洋服が違ってきます。事務職のときは制服もあったので、プライベートでは割とご自分がお好きなフェミニンな洋服を着ていたようですが、営業職に変わられたので、スーツが必要になり、新しい服をたくさん買われていました。
その方はお1人暮らしで、クローゼットにしまえるものが限られています。今後のビジョンを聞くと、「向こう3年~5年は仕事に邁進したい」とのこと。手持ちの洋服を着られる時間はないだろう、ということで、思い切って、フェミニンな洋服は全て捨てることにしました。
何度も繰り返しますが、「なりたい自分」、「送りたい生活」のために必要なモノだけ残しましょう。特に洋服に関していえば、旬が過ぎたら不要になるモノも多いもの。そして、デザインはかわいいけれど、着心地が微妙に良くない服、スタイルが悪く見える服は、取っておいても結局出番はありません。
いつ着るかわからない服を取っておくよりも、「そのときの自分に相応しい服」を大切にすれば良いのはないでしょうか。
買ったモノは、手放すまで買った人に責任があります。最終的に、「要・不要」を判断するのも、その責任の一環。「いらない」と判断し、「今までありがとう」という気持ちをこめて、処分し、モノの絶対量を減らしていくことも大切ですね。
収納ケースは、前後を入れ替えただけで完結する
西﨑 彩智
株式会社Homeport 代表取締役
お片づけ習慣化コンサルタント