投資信託は“短期売買”に向いていない

投資信託について、こんなことを聞かれたことがあります。「投資信託を買ったら、どのくらい持てばいいのでしょうか」と。

株式の場合、私は株価が購入した時よりも下がった場合、根気強く自分が買った株価を上回るまで持ち続けることがほとんどです。それは投資信託についても同じです。

投資信託の場合、むしろ株式以上に長い時間軸で投資したほうが良いかも知れません。というのも、そもそも投資信託は短期売買に向いていないからです。

なぜなら、まず購入時手数料を負担しなければならない場合、短期で解約・購入を繰り返すと、購入時手数料が物凄い負担になるからです。

仮に購入代金に対して2%の購入時手数料が取られるとしたら、短期間で10回、解約・購入を行うだけで20%の購入時手数料がかかります。20%ものコスト負担を、投資信託の運用成績でカバーするのは、非常に大変です。

次に、投資信託は非常に長期的な目線で運用計画が立てられ、それに沿って運用されていることです。投資信託会社の運用担当者は、できれば売却せずに持ち続けられるような企業を厳選して投資しています。

特に、アクティブ型で、組入銘柄数が20銘柄とか30銘柄に厳選して投資しているようなファンドの場合、その傾向が顕著です。

このように、投資信託会社が長期的な目線で運用計画を立てているのに、その投資信託を買う人が短期で解約してしまったら、その解約資金を用意するために、せっかく長期的な目線で選び、投資した銘柄を、短期間で解約しなければならなくなります。これでは、ファンドの運用成績が伸びていく前に解約にさらされて、運用そのものが立ち行かなくなる恐れが出てきます。

これらの点から、投資信託は短期のうちに解約・購入を繰り返すのには向いておらず、基本的には10年単位で保有し続けるものと考えた方が良いのです。また、これは後述しますが、長期で保有し続けられる投資信託を選ばなければいけないということでもあります。