うまく雑談できる人は 名刺を話題にし、できない人は 「最近のニュースで」と言う。

「異業種交流会とかは苦手です。知らない人と雑談するなんて特に苦手です」「何を話したらいいかわからないんです」そんな方に特効薬を処方しましょう。あるとき、人脈王と言われる人に誘われて、交流会に行ったときのことです。「人脈王の彼は、どうやって人脈をつくっているんだろう?」「どうやって自分の顔を売り込んでいるんだろう?」


興味津々で、彼にひっつきまわっていたら意外でした。押しが強いわけでもなく、話題を繰り広げるわけでもなく、自分のすごさをアピールするのでもありませんでした。でも毎回、場を盛り上げているのです。彼にたずねました。「すぐに打ち解けていくので神業を見ているようですよ。話を盛り上げるコツはなんなのでしょうか?」


すると、「見えているものを片っ端から話題にすればいいんだよ。今の場合なら、名刺を受け取ったら、名刺の情報を徹底的に話題にしているだけだよ」なるほど、見ていると手順は毎回同じでした。名刺を交換したら、まずは相手のお名前を話題にしていました。ほぼ全員に「いいお名前ですね」とおっしゃっていました。その理由も付け加えます。


相手が佐藤和男さんだとしたら、「さとう、かずおさんとお読みするんですね?」読み方を必ず確認します。そして、「いいお名前ですね!」(え? 日本で何百人もいそうだけど、どうほめるんだろう?)すると、「日本で何番目かに有名な名字ですし、和男さんというお名前が、頼りがいがありそうな佐藤さんとぴったり一致していますね」おー、なるほど。次に会社名を確認して、仕事の話へ。


「ところで、経理部とのことですが、経理の仕事って、常に緊張感がありそうですね」すると、質問がハマったみたいでテンションが上がります。「そうなんですよ。数字が合うまで大変ですよ。でも数字が合った時の快感も大きいですよ」仕事のことを語り始めると、多くの人が饒舌になります。隣でみていると、相手の方のボルテージがどんどん上がっていきます。質問の技術が高いからこそですね。


人脈王は名刺交換をしてから3分経っても、自分のアピールをしていません。熱心に相手の話を聞き始めて5〜6分。すると、相手がハッと気づいたように、質問をし始めます。「私ばかり話してしまってすみません! あなたはどんなお仕事をしているんですか?」その質問で、ようやく人脈王は自分の紹介をし始めました。場をつなぐために「最近こんなニュースがありましたよね? ご存知ですか?」などと、スポーツや芸能のニュースなどを話す人は多いです。その場から遠い世界の話をすることで、相手に深く入りこまないように配慮しているとも言えます。


しかし残念ながら、安全領域にいる限り、人と深い関係を築けることはありません。勇気を出して、相手の名刺を元に、さまざまな情報を引き出していきましょう。最近は名刺を持たず、SNSで繋がる人も多いです。その場でSNSを開いて相手のプロフィール情報を元に、話を広げていくのもいいでしょう。ニュースなど遠い世界の話をするのではなく、目の前の相手を話題にするのが雑談の基本です。


【ポイント】


ニュースではなく名刺やSNSに書いている相手の情報を元に、相手の話題に集中しよう!
 

一般社団法人日本聴き方協会代表理事
松橋良紀