「中間管理職」と言うと、「上司と部下の板挟み」「気苦労が絶えない」などのイメージを抱く人が少なくないのでは? 「中間管理職」で検索するとサジェストで「無理ゲー」「ストレス」という言葉が登場し、中間管理職でストレスを感じている人が少なくないことがうかがえます。ところが、7月31日に最新エッセイ『この平坦な道を僕はまっすぐ歩けない』(新潮社)を上梓したばかりのお笑いコンビ「ハライチ」の岩井勇気さんは相方の澤部佑さんについて「澤部はストレスを感じていない中間管理職」とキッパリ。岩井さんが澤部さんを「幸せな中間管理職」と評する理由について伺いました。
「先輩として…」という意識はない。後輩への接し方
――中間管理職に関するお悩みで多いのは、「下手したらハラスメントになってしまうから、部下に何て声をかけたらいいかわからない」というのがあって、岩井さんも『この平坦な道を僕はまっすぐ歩けない』で後輩芸人さんとの付き合い方について書かれていましたね。岩井さんは後輩や年下の子たちとどんなふうに付き合っていますか?
岩井:先輩後輩の間柄ではありますけれど、ひょっとしたら向こうからしたら違うかもしれないけれど、こちらは友達のような感覚で接しています。でも後輩は気を使ってくれるから、こちらはお金を払ってあげようと思うんですけれど……。「先輩としてこれは伝えとかなきゃ!」とかはあまりないですね。
だから、ご飯に誘って断られても「オッケー!」って感じです。僕は先輩とご飯食べているときは、確かに気を使うけれど、飯さえ奢(おご)ってくれたら誰でもいいんですよ(笑)。ケチなところがあるというか……。でも後輩には、飯を食わせてやるから「敬え」みたいなことはしたくなくて、友達みたいな感覚のほうが居心地いいですね。それは良くないことなのかもしれないけれど、責任感がないというか……。
――先輩や年上の人といるほうが楽ですか?
岩井:テレビに出た頃、めちゃくちゃ若くて30前後の上の人しかいなくてずっと後輩だったんです。だから、そっちと絡むほうに慣れちゃっているのかもしれないです。
あと、みんなにかわいがってもらっている後輩については、俺はかわいがらなくていいやって思って、はみ出し者みたいなやつしか集めていないです。だからみんな辞めちゃうんです。俺もはみ出し者みたいで、ちょっとアウトローな先輩たちがかわいがってくれていたんですけれど、先輩も辞めちゃって後輩も辞めちゃってみんないなくなっちゃいました。
だからと言って、ずっと見守ったりもしていません。やっぱりそいつの人生だし、他人は他人の人生を生きているから。本にも書きましたが、人生の舵(かじ)はその本人が握っていて、人の人生に影響を及ぼしたと言えることなんてほとんどなくて、誰も人の人生を変えることなんてできないんですよね。そんなふうに思っています。
THE GOLD60編集部