せっかくよい企画を思いついてもつい「でも前例がないし難しいかもな…」といつの間にか思考の幅を狭めてしまうことは「会社員あるある」なのではないでしょうか? しかし「働き方改革プロジェクトアドバイザー」の坂本崇博氏は「イノベーションを起こして会社に利益をもたらす役割であるイノベーターが、会社の枠組みにこだわる必要などない」と言い切ります。坂本氏の著書『仕事のアップデート100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
フィクションにハマることで「アイデア脳」は鍛えられる
新事業や新商品を生み出すためには、アイデアが必要です。周囲で優れたアイデアを生み出す人はいないでしょうか? そういう人と自分を比べて、「あの人と違って自分にはアイデアを生み出すセンスがない」「あのトレーニングで鍛えられるからです。人はアイデアを生み出す先天的な能力を持っているんだ」と考える必要はありません。アイデアを出す能力は
アイデア出し能力は、一部の天才を除けば後天的に身につける人がほとんどです。「自分はアイデアが発想できない」と悩んでいる人でもトレーニングで身につけることができます。アイデア出しのトレーニングは、スポーツと本質的には同じ。例えば、マラソンの初心者は始めたばかりの頃は短い距離を走っただけで疲れてしまいます。しかし、短い距離を走るトレーニングを繰り返すことで徐々に体力がつき、長距離も走れるようになります。
アイデア出しも、最初は疲れや不慣れを感じるものですが、トレーニングを繰り返すことで慣れてきます。繰り返し行うことで具体的なイメージを思い浮かべるスピードも上がり、さらに多くのアイデアを出せるようになっていきます。
トレーニングと聞くと、つらいもの、苦しいものを思い浮かべがちですが、アイデア出し能力のトレーニングは楽しいものであるべきです。楽しくないとトレーニングも長続きしないからです。トレーニングを楽しいものにして続けていき、自分の中で習慣にすることを目指しましょう。
アイデア出しのための脳のトレーニングとして、オススメなのが「フィクションにハマる」というものです。ドラマや物語といったフィクションの中でも、現実に少しだけ嘘の要素を加えたテイストの作品がいいでしょう。そうしたフィクションにハマってフィクションの世界のパターンを覚えたら、今度は自分自身で虚構の世界を想像してみましょう。
そこで想像する虚構も、現実に少しだけ嘘を交えたものにしましょう。例えば、「ニュースで見た事件や災害が起きたときに、自分が100億円を持っていたらどう使うか」などです。様々な制約から解放された中で、「100億円を持っている」という嘘を使って現実の事件や災害に自分がどうやって立ち向かうか、様々な知識を組み合わせながらイメージするのです。
フィクションにつけ加える嘘はどんなものでもいいですが、ポイントはできるだけポジティブな嘘であることです。悲観的なものではなく前向きに楽しく妄想できるものにしましょう。
【ポイント】
●アイデアを出す能力は後天的に鍛えることが可能
●トレーニングをすることでアイデアが出やすくなる
●現実に少しだけ嘘を交えた状況を妄想する
●トレーニングを楽しいものにして習慣化する