性格は変えられないものだと思いますよね。しかし、脳科学者の西剛志氏は著書『「おとなしい人」の完全成功マニュアル 内向型の強みを活かして人生を切り拓く方法』の中で、「後天的に変化する」と言っています。一体どういうことでしょうか? その理由を、本書から紹介します。
「生まれ」と「育ち」の真実
「性格は生まれつき遺伝で決まっていて変わらない」私も講演会で多くの人に出会ってきましたが、そのように思っている人が多いようです。しかし、私たちのパーソナリティは大きく2つの要素からなっています。それが「気質」と「性格」の2つの部分です。
「気質」とは、遺伝子によって生まれたときから決まっている先天的なパーソナリティです。イライラしやすい、喜びを感じやすい、新しいことに興味を持ちやすい、人が好きなど、これらは生まれつきドーパミンやセロトニンなど脳内の神経伝達物質の量によってある程度決まっています。「性格」(キャラクター)とは、生まれてからの後天的な体験や出来事によってつくられるパーソナリティです。
遺伝子が同じ一卵性双生児の研究でも、大人になるにつれて性格や好みが異なってくる現象があります。これはまさに後天的な体験や環境の違いで、後天的に性格がつくられているからです。行動遺伝学の研究でも、私たちのパーソナリティは全体の約40〜50%が遺伝的な影響であることが示されています。
米国ワシントン大学セントルイスのロバート・クロニンジャー博士は、この「気質」と「性格」の2つの要素が私たちのパーソナリティの不可欠な要素であることを提唱しており、「TCI理論」(TemperamentandCharacterInventory)として世界の数多くの研究者に支持されています。先天的な「気質」は遺伝子で決まっていて変えることができません。しかし、後天的な「性格」はいくらでも成長させることができるのです。
英語ではよく「Nature」(生まれ)と「Nurture」(育ち)と言われますが、人の性格は育ちによっても大きく変化していきます。