2003年、世界的に有名な学術誌Nature誌にて、「レスベラトロール」という物質が長寿遺伝子を増強する、という論文が発表されました。今回『最新科学で発見された 正しい寿命の延ばし方』(総合法令出版)より、世界中で注目されるレスベラトロールという“長生き成分”の正体と日常的に摂取するための方法について、詳しくみていきましょう。著者で代謝機能研究所所長の今井伸二郎氏が解説します。
「赤ワイン3L分」がもっとも長寿に効果的
レスベラトロールはブドウの種子に含まれていますが、普通ブドウのタネは食用にはしません。それでは食品からレスベラトロールを摂取するにはどうしたらいいか。その答えは赤ワインです。
赤ワインは、ブドウを皮や種子ごとつぶしてそれを発酵させて製造されます。ですので、製造過程でタネが含まれるため必然的に赤ワインの中にはレスベラトロールが含まれます。一方、白ワインはブドウをつぶして濾過をしてから得たブドウジュースを発酵して作るので、白ワインにはレスベラトロールは含まれていません。
それでは、健康効果を期待してレスベラトロールを摂取するためには、どのくらい赤ワインを飲んだらよいのでしょうか?
赤ワインの種類にもよりますが、レスベラトロールは赤ワイン1杯に多くても1mg程度しか含まれず、赤ワインを多飲するといわれているヨーロッパ人の1日摂取量もわずか2mgと、食品としての赤ワイン摂取で健康に良い影響を与えることは少なそうです。
さまざまな実験データから、レスベラトロールの健康に良い影響を与える必要摂取量は1日あたり30mgから150mgといわれています。仮に30mgとして、赤ワインでレスベラトロールを摂取するには3Lも赤ワインを飲むことになります。
これでは、健康に良いどころか肝炎になってしまいます。肝炎にならなくても、アルコール中毒になってしまいそうです。
<まとめ>
・レスベラトロールはメタボリックシンドロームや老化に伴う疾患を予防する機能がある
・レスベラトロールはブドウの種子に含まれている
今井 伸二郎
医学博士
代謝機能研究所所長/東京工科大学名誉教授/藤田医科大学客員教授