香港オフショアツアー

Aさんは数ヵ月後にオフショアツアーに参加しました。当初の案内のとおり、香港の金融街をはじめ観光地をひととおり巡ったあと、香港のとある金融機関で手続きを行いました。ツアーはAさんが思っていたよりも新鮮で楽しく、現地で感じた香港の雰囲気や、異国の地で限られた人がこの投資に申し込めるといった特別感から気分は最高潮。思い切って2,000万円をオフショア投資に充てることに。

Aさんは外国語があまり堪能ではありませんでしたが、1グループに1人通訳が付き、外国語が喋れなくても問題ありませんでした。

申し込んだ商品は現地の積立型保険。しかも日本と比べ物にならないほど高金利です。10数年でほぼ倍となる条件のものでした。年利換算すると、およそ5%にもおよびます。

10年後に解約すると…

申し込みから10数年後、65歳で定年を迎えたAさんは加入した保険の解約を行います。

近年の円安の効果もあり、投資に充てた2,000万円が倍以上となって返ってきたことに驚きました。

「実際に手元に戻ってくるまでは半信半疑だったが、本当に戻ってきた。これは投資しておいて正解だったな」そう確信しました。

税務署から突然連絡がきて…

保険を解約してから2年後、Aさんのもとに税務署から連絡が入ることとなります。

恐る恐るAさんが話を聞くと、オフショア保険に関する申告漏れの指摘とのこと。

「オフショア投資は税金がかからないんじゃなかったのか!」Aさんは困惑するも後の祭り。申告漏れの指摘となってしまうのでした。

申告漏れと指摘された原因

「国税庁:海外投資を行っている者の調査状況」によると、海外投資による申告漏れの件数は1,587件、金額にすると1件あたり3,320万円となっています。1件あたりの金額が3,000万円を超えていることからも、投資家が海外投資にあてる金額の大きさが伺えます。

海外投資に対する税金に対しては年々厳しくなっています。現在は海外資産の合計額が5,000万円を超える方は「国外財産調書」を税務署へ提出しなければなりません。

海外資産が5,000万円以下の場合でもなにもしなくてもよい、というわけではありません。原則、日本へ資産を移した際は確定申告を行う必要があります。

オフショア投資で得た利益に対して税金がかからないのは現地の話であり、日本に送金された場合は一般的に課税の対象となります。特に、海外からの送金は税務署に筒抜けのため、しっかり確定申告を行いましょう。

Aさんの場合、オフショア投資で得た利益に対して確定申告を行なっていなかったために税務調査が行われ、結果として追徴課税されることとなってしまいました。

オフショア投資の注意点

・現地では課税されないが、日本に持ち帰ると課税対象となる

・海外からの送金は税務署に筒抜けなので、「黙っていればバレない」はNG

・5,000万円超は「国外財産調書」を提出