日本の住宅の間取りは、狭い空間を無駄なく効率的に使えるよう工夫されてきました。しかし、一級建築士で模様替えアドバイザーのしかまのりこ氏によると、この住み慣れた日本の住宅に対する「固定観念・思い込み」によって、実は快適な暮らしが遠のいている可能性があるというのです。はたしてその「思い込み」の正体とは? 『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』(彩図社)より詳しくみていきましょう。
【事例】リビングが狭く、ダイニングが広いです
家具と部屋のサイズがミスマッチで、ストレスフルな家具レイアウトに…
[図表1]は、リビング6畳、ダイニング8畳、キッチン3畳の、LDKの間取りの様子です。リビングとダイニングの大きさを比べてみると、ダイニングの方が大きいですね。
しかし、[図表2]のようにソファやテレビボードなどのリビング家具のほうが、ダイニングテーブルやダイニングチェアなどのダイニング家具よりも、必要とする空間は広いですよね。
ダイニングにはゆったりテーブルがレイアウトできているのに、ソファは窮屈そうです。このように家具が必要とする広さと、部屋の広さのミスマッチが起きていることが、部屋が狭く使いにくい原因となっています。
家具と部屋のサイズが合わないと動線も確保できない
また、ダイニングからバルコニーへ向かう動線(矢印)が、ソファにぶつかっています。[前掲図表2]そのため、バルコニーへ出るときは、障害となるソファを少し移動するか、または、テレビの前の狭いスペースを通らなければならなくなり、かなりストレスフルな家具レイアウトとなっていました。