老後年金だけでは暮らせない時代となったいま、「定年後のキャリア」をどのように考えるべきか……金澤美冬氏の著書『おじさんの定年前の準備、定年後のスタート 今こそプロティアン・ライフキャリア実践!』(総合法令出版)より、現役世代の“生の声”をみていきましょう。
自衛隊独自の制度により「54歳」で定年退職…60歳・元航空自衛官が掴み取った「定年後」のキャリア【インタビュー】
階級によっては50代で…自衛隊独自の「定年制度」
――自衛隊は定年退職が早いと聞いたことがあります。
竹丸:階級によって異なりますが、私の場合は54歳です。自衛隊では定年になる10年前、「業務管理講習」という制度があり、隊員を一堂に集め2日間でいわゆるキャリアカウンセリングのようなことをしてくれます。
「あなたが今まで一番頑張ったと思える体験を話してください」「そのときにどんな能力が活かされたと思いますか」という棚卸しをするわけですが、その結果、「今こういう仕事が世の中にあります」とか「あなたの能力を活かせる仕事にこんなのがあります」といったことを見せてくれるというものです。
それを受けた隊員は「じゃあ、自分はこっちのほうに進もうかな」と動機付けをして、10年先のゴールに向かって自分ができる努力をしていくという流れです。
――良い制度ですね。民間企業では退職後のことまでフォローしてくれるケースは稀のように思います。
竹丸:そうですよね。しかし、自衛隊から退職後の仕事をいろいろと紹介してくださるものの、それに対し首を縦に振る人は少ないようです(苦笑)。「自衛隊の仕事は大変だし、もっと良い仕事を世話してくれ!」という人も多いようです。
毎日4時間の勉強+420時間の養成講座…竹丸さんが目指した「セカンドキャリア」
――この点、竹丸さんはどうお考えだったのですか? 定年退職される2年前に行政書士の資格を取られ、日本語教師育成講座を受講し、告示されている学校で働ける資格を取得されていますが。
竹丸:退職後、私は外国人の方向けの「日本語教師になりたい」と考えていました。
その理由は、まず妻が台湾出身で日本語に苦労したから。そして、妻自身、日本ではなく台湾で暮らしたかったようで、私に対して「台湾で日本語教師になれば良い」と言っていました。自衛官では半分以上を教育職に就いていたため、「人に何かを教える仕事は、私にとっても遠くないかもしれない」と思い、日本語教師を志していました。
また、行政書士の資格は「日本で働くことを目指す海外の方の在留資格の申請などで専門的なアドバイスができるのではないか」という動機で取りました。ただ、結構苦労して1度失敗し、2年目でやっと試験を通過しました。
――自衛隊での仕事もある中で、行政書士の資格を取るとなると相当な勉強量ではないかと思いますが、両立できましたか?
竹丸:行政書士は毎日4時間学習し、日本語教師のほうは420時間の養成講座を受講して取得しました。確かに大変ではありましたが、割と試験勉強慣れしているところと、特に行政書士のほうはやればやるほど合格が見えてくるのが嬉しく感じられ、それほど苦ではありませんでした。