電子マネーやネット銀行、各種サブスクリプションなど、Webサービスの利用者は年々増加しています。これにより、Webサービスの利用者本人が亡くなってしまったあと、遺された家族がそれらを解約できず、トラブルに発展するケースが増えているそうです。そこで、遺される家族に迷惑をかけないための生前対策について、詳しくみていきましょう。行政書士/相続・終活コンサルタントの明石久美氏が解説します。
現代の終活には必要不可欠!大切な家族を困らせない〈デジタル遺産〉の生前対策【終活コンサルタントが解説】
“謎の引き落とし”で遺産が減ることに
あなたのデジタル取引がわからない場合、また、スマホなどのロックが解除できない場合、どのようなことが起こるのか考えてみましょう。
家族は、サブスク※、定期購入、WEB明細、クレジットカード決済、キャリア決済、電子マネー決済などの把握ができません。
※ サブスク……月や年など一定期間ごとに自動で課金されるサービスのこと。解約をしないと請求されてしまう。サブスクリプションの略。
そうなると、必要な書類を見つけるために部屋中を探したり、送付されてくる書類から把握しなければなりません。引き落とし情報が電子メールで届いていても家族が気づくとは限りません。
解約はメールやアプリから行う設定になっていて電話番号がわからないものもあります。解約ができなければ請求がなされてしまい、引き落としができなければ数カ月後に郵送されてきた請求書で対応しなければならないということもありえます。
ネット銀行※は、キャッシュカードや取引明細書などがあれば取引していることがわかるため手続きできます。
※ インターネット銀行……インターネット上にある銀行のこと。窓口やATMへ行かなくてもネット上でお金のやりとりができる。
しかし、キャッシュカードもなく明細の郵送もない通帳レス口座※の場合、その存在に気づかないかもしれません。ネット証券も同様です。金融機関名や支店名をわかるようにしておかないと、遺産が家族に引き継がれません。
※ 通帳レス……口座通帳やキャッシュカードがない代わりに銀行の提供するアプリやサイトにログインし、インターネット上でお金の取引を可能にする口座のこと。
なお、金融機関は一般的に、家族から口座名義人が亡くなったという連絡をうけて、口座を凍結します。役所に死亡届が提出されたからといって口座が凍結するわけではありません。
いざというときのために、ネット銀行を含めたデジタル遺産についても情報リストの保管場所を共有しておきましょう。
また、電子マネーは、バーコードやQRコードを提示したりかざしたりして決済しますが、ロックを解除しなければチャージされている額はわかりません。