年を重ねるにつれ、頭をもたげる「相続」「終活」のこと。のこされる家族を困らせたくないと思う一方で、預金残高や口座情報など、財産の詳細を家族へ伝えることに抵抗がある人も少なくないでしょう。では、それらの情報を家族へ共有せずに終活を進めることはできないのでしょうか。『1000人の「そこが知りたい!」を集めました 人に迷惑をかけない終活』(オレンジページ)の著者で、行政書士/相続・終活コンサルタントの明石久美氏が解説します。
相続手続きで迷惑はかけたくはないが…「預金残高」や「財産」の詳細、家族に教えなきゃダメですか?→相続・終活コンサルタントが回答
「預金残高」や「財産額」は、すべて共有する必要ナシ
個人情報はリストにし、“保管場所”が家族にわかるよう準備を
まだ元気なうちから銀行口座の残高や持っている財産を家族に伝えてしまうのは、少々気が引けますよね。暗証番号などの情報や印鑑もまとめて渡してしまって、勝手に引き出されてしまうようなことがあっては今後の家族仲も今まで通りにいきません。
だからといって何も伝えないまま倒れたり、亡くなってしまったりすると、家族が苦労するのは目に見えています。
残高や財産の額まで元気なうちにすべて共有する必要はありません。ただ、いざというときに困らないように、必要な情報がどこにあるのか、保管場所を家族がわかるように準備をしておきましょう。
パソコンやスマホの中のメモ帳(IDやパスワードの共有も)、エンディングノートなどに一覧リストを作成し、あなたに何かがあったとき家族が必ず見られるよう、置き場所を共有しておきましょう。
〈ここがポイント〉
情報リストの保管場所がどこにあるのか、必要なときにわかるようにしておく
「年金情報」も伝えておくとスムーズ
年金を受けていて亡くなったら、家族(年金を受給できる対象者)は未支給年金の請求、遺族年金の請求などの手続きを行えば次の年金が受給できます。今のうちから基礎年金番号※、受けている年金の種類、年金証書※のある場所を伝えておくとスムーズでしょう。
※ 基礎年金番号……年金の加入記録を管理する番号。マイナンバーと紐づければマイナンバーで基礎年金番号を代用できる。ただし基礎年金番号でしかできない手続きもあるため、基礎年金番号の把握も必要。
※ 年金証書……年金を受け取る権利を証明する書類。紛失したら近くの年金事務所で再発行が可能。