新型コロナウイルス感染症の流行で改めて注目された空気清浄機。海外からも続々と上陸して群雄割拠の様相を呈し、高価格モデルが売れるなど、多くのメーカーが販売台数や金額を伸ばしました。現在は落ち着いているものの、コロナ禍を経て空気清浄機はどのように変わったのでしょうか。今回は、空気清浄機の進化やトレンドをご紹介します。
ウイルス対策のテクノロジーを搭載、IoTによる連携機能も…空気清浄機の選び方は?

※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

花粉・PM2.5対策として徐々に普及

皆さんの中で空気清浄機を持っているという人はどれくらいいるでしょうか。空気清浄機は、冷蔵庫や洗濯機のような日常生活に欠かせない家電とは異なり、「空気が汚れている実感がない」「効果が分かりにくい」などの理由から、必要を感じない人も多いかもしれません。

 

実際、内閣府の消費動向調査によると、2000年代における2人以上世帯の空気清浄機の普及率は35%前後と低迷気味でした。ところが2009年には新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)のパンデミック、2013年ごろには中国の激甚的大気汚染による越境汚染で日本のPM2.5濃度が上がったことが社会問題となり、普及率が40〜45%近くまで上昇。花粉症の有病率も1998年の19.6%から2019年の42.5%と急激に増えていることも、普及率増加に影響していると考えられます。

 

ここで改めて空気清浄機の働きについて確認しましょう。一般的な空気清浄機には「HEPAフィルター」と呼ばれるフィルターが搭載されており、ファンで吸い込んだ空気の中から微粒子を濾し取り、きれいな空気のみを室内に戻します。この「HEPAフィルター」は0.3μmまでの微粒子を99.97%取り除くとしているため、粒子の大きさが30〜40μmのスギ花粉や、2.5μm以下のPM2.5は除去できる計算に。一方でウイルスの大きさは、種類にもよりますが0.1μm以下とされていますので、取り除けないということになります。