転職や再就職が一般化しつつある今では、「年上の部下」「年下の上司」という関係性も珍しくありません。とはいえ、上司側からすると気を使わずにはいられず、つい苦手意識を抱いてしまうケースも…。上司としてどのように向き合うべきなのでしょうか? 60代現役女性管理職・いくみ氏の著書『女性管理職が悩んだ時に読む本』(2023年、日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
【悩み①】「年上」&「異性」の部下との接し方
男女かかわらず、管理職として部下さんと接するのに「年上」の相手には気を使うもの。女性管理職の場合はさらに「年上&男性の部下さん」というお相手に対して、つい苦手意識を抱いてしまいがちです。
■向き合い方:部下の経験をリスペクトしつつ、上司として分け隔てなく接する
まず、苦手意識を取り払うこと。こちらが苦手だと感じてしまうと、相手にもそれが敏感に伝わってしまうもの。年上だろうが異性だろうが分け隔てなく上司として接することが大切です。
そして特に年上の部下さんとのコミュニケーションにおいて大事なのは、相手へのリスペクト。年上ということは自分より多くの人生経験や知恵を持っているに違いありません。それがたとえ数年の年の差だったとしても10年以上の差だったとしても同じ。その気持ちをもったうえで、必要な助言や時には厳しい指摘をすることも、年上だろうが年下だろうが、上司としての部下さんへの寄り添いという点においては何ら変わりないことです。
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<ワンポイント>
私が年上&男性の部下さんに接する時に、最初はついおどおどしてしまいがちでした。そんな時に部下さんの一言が刺さったのです。
「いくみさん。上司として年下だろうが年上だろうがかまわず振る舞ってください」
上司の思い込みなぞ無用で、部下さん自身は割り切って捉えてくれているのだと教えてもらいました。
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【悩み②】女性同士の人間関係
一方、女性同士の人間関係だからこそ、かえって気を使う場面もあります。
同じような経験や実績がある者同士だと、なかなか相手を認めようとするのが難しかったりするもの(これは何も女性同士に限ったことではないかもしれませんが)。
「いくみさんが管理職だってさー。へぇ~」
「いくみさんは、こんな点がイケてないのに、なんで管理職やってるの? 私のほうがよっぽど秀でているはず」
そんなふうに思われているであろうこと、しょっちゅうです。
■向き合い方:ポンコツ上司でもいいから、部下より率先して取り組んでいく
誰もが完璧に認める管理職なぞ、存在しないといっても過言ではありません。女性はやや完璧思考が強いように私自身にも自覚があるので、つい、上司に対しても完璧であってほしいと願ってしまいがちです。それゆえ、部下さんにとっては多かれ少なかれ上司のポンコツ度合いがつい気になったりしますから、それはそれでよし。気にしないことです。
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<ワンポイント>
上から目線で構えるのではなく、とくに難事が訪れた時は、とにかく部下さんより率先して取り組んで必死に対応する。そんな姿、女性同士だとなおさら意気に感じてもらえて、ポンコツ上司→いい上司へと評価を変えてくれたりします。
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いくみ@女性管理職&ブロガー
女性管理職専門家・ビジネス書著者
1962年神奈川県生まれ。会社員歴39年、ワーキングマザー歴31年(2024年6月時点)。中小企業の事務員から始まり、女性管理職に憧れるも結婚を機に退職。出産、子育て、夫の転勤などによって非正規雇用の期間を経て40歳で正社員復帰。現在は上場企業で管理職歴19年。定年再雇用後も管理職を継続しており、部下の延べ人数は200名以上。
これまでの経験を背中にいる人たちに伝えたいと一念発起し、2017年からブログ「ねーさんらいふ」を運営。女性管理職の日常をメインに発信し、2024年6月時点で2,200記事を突破。公式X(旧Twitter)では、読者が元気になる朝ツイートを毎朝投稿、約1.6万フォロワー。