上場企業に勤める傍ら、自らの経験が役に立てばとブログやX(旧Twitter)で情報発信をしている「いくみ@女性管理職&ブロガー」氏。部下の褒め方や叱り方も、多くのビジネスパーソンが抱える「悩み」の一つです。累計200人以上の部下と接してきた同氏は、この問題に対してどのように向き合ってきたのでしょうか? いくみ氏の著書『女性管理職が悩んだ時に読む本』(2023年、日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
【悩み】部下を褒めたり、叱ったりするのが苦手です…
■いくみさんも「叱る」のはかなり苦手
私は人を褒めるのは得意で、部下さんたちのことをしょっちゅう褒めています。
よく頑張りましたね。目標達成はすごい! さすが〇〇さんだわ。そのアイディア素晴らしいね…etc.
なぜならば、業務を実施している主人公は部下さんたちであって上司ではない。部下さんのパフォーマンスに1つひとつ感動する心を持っておくべきというのが私の信念でもあります。
一方、叱るのは実はかなり苦手。例えばミスがあったり上手くできていないことがあったりした時に、つい「いろいろ大変なのだろうから、次頑張ってくれればいいや」とおおらかに見てしまおうとするからです。あまりにも同じことを繰り返してなかなか先に進めなさそうにしている時は「何が問題なのかしら? 状況教えてください」と問いかけることはもちろんありますが、頭ごなしに「あなたが悪い」「ここ改善しないとまずいから」といった言い方をするのは本意ではないのです。
【向き合い方】「褒める」「叱る」の“捉え方”を変えてみて
■自分が「人から言われたら嬉しい」と思えるフレーズを実際に伝える
褒め上手だと自分で思えるのならば、どんどんそれを発揮していきましょう。「褒めるのが苦手だなあ…」という管理職の方は、ちょっとした短い言葉でもよいので、自分が人から言われたら嬉しいと思えるフレーズを部下さんに対しても口に出して伝えるようにしてみてください。
褒められてイヤな気持ちになる人はいませんし、逆に、「なかなか褒め言葉を上司からかけてもらえない」と部下さんに思われてしまっては、それだけで損をしてしまうものです。
■「叱る」のではなく、「仕事の先輩として助言する」というスタンスなら?
私のように叱り下手だという管理職のあなた。「叱る」という表現がなんとなくネガティブに思えてしまいますよね。仕事の先輩として助言する、というスタンスではどうでしょうか? もちろん、改善が急がれる事態の場合は、厳しめな言い方をしてもよいのです。特に重大なミスは対クライアントやその他の関係者や、それまで築きあげてきた信頼関係を崩してしまうことにつながってしまいかねません。なぜそれが起きてしまったのか? 再発防止のためにはどうするべきか? 本人にしっかり自覚してもらう必要があります。
ただし「叱りっぱなし」はご法度。その後、事態の収拾ができた時は、その時点でねぎらいの言葉がけを怠らないようにしましょう。
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<ワンポイント>
「褒める」「叱る」という表現自体が、やや高圧的な印象もありますから「共感する」「寄り添う」「気付きを助ける」そんなふうに上司が思ってみたら。部下さんが行動ヒントにしてもらえることが多いにあるでしょう。私はよく「アドラー心理学」についての書を参考にさせてもらっていて、そのなかの一節をお借りします。
「人の育て方に迷った時は、自分に質問をするのだ。『この体験を通じて、相手は何を学ぶだろうか?』と。そうすれば必ず答えが見つかるだろう。」
(『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』(小倉広著)より引用)
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いくみ@女性管理職&ブロガー
女性管理職専門家・ビジネス書著者
1962年神奈川県生まれ。会社員歴39年、ワーキングマザー歴31年(2024年6月時点)。中小企業の事務員から始まり、女性管理職に憧れるも結婚を機に退職。出産、子育て、夫の転勤などによって非正規雇用の期間を経て40歳で正社員復帰。現在は上場企業で管理職歴19年。定年再雇用後も管理職を継続しており、部下の延べ人数は200名以上。
これまでの経験を背中にいる人たちに伝えたいと一念発起し、2017年からブログ「ねーさんらいふ」を運営。女性管理職の日常をメインに発信し、2024年6月時点で2,200記事を突破。公式X(旧Twitter)では、読者が元気になる朝ツイートを毎朝投稿、約1.6万フォロワー。