Bさんが大後悔することになった「退職金」

2人の年収は同じ800万円、同じ会社に勤めた同期で、65歳定年時の退職金見込み額は1,500万円となっていました。Aさんは定年退職し、再雇用で週2,3回の働き方をする予定です。

一方、Bさんは定年退職1ヵ月前に退職し、失業手当を受給しながら年金を受給。受給後はアルバイト程度に働こうとしています。

2人の年金はほぼ同じ金額で、老齢基礎年金81万6,000円(2024年度満額)と老齢厚生年金129万8,340円(平均標準報酬月額47万円、504月で計算)です(差額加算除く)。年額では約211万円、月額換算すると約18万円となっています。

「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の厚生年金保険(第1号) 老齢年金受給権者状況の推移(男子)によると、65歳以上の平均年金月額は16万7,388円。また、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)消費支出は14万5,430円(家計調査報告 家計収支編2023年(令和5年)平均結果の概要)となっています。

2人とも平均以上額が受け取れる予定であり、日々の生活は年金でどうにかやりくりできそうです。ただし、ゆとりある生活をするには、少し貯蓄を取り崩すようになるでしょう。老後の資金として退職金が多いと不安が軽減されます。

退職金は会社の就業規則、退職金規程などで決められていますが、定年退職と自己都合退職とでは金額が異なるケースが多いのです。

厚生労働省の「退職給付(一時金・年金)の支給実態(2023年度)」から、定年退職と自己都合退職では、自己都合退職は約84%となります。つまり、多くのケースで自己都合退職を選んだ場合、退職金を満額受け取れるわけではないようです。

(一部抜粋し筆者作成)
[図表]退職給付の支給実態 (一部抜粋し筆者作成)

2人の会社でも退職金の規程により、自己都合退職は定年退職の80%と定められていたため、Aさんは1,500万円ですが、Bさんは1,200万円にとどまることになりました。300万円という大きな差が出てしまったのです。