「人生100年時代」の現代において、老化は避けられない問題となっています。今日から実践できる「身体と脳を若返らせるトレーニング」を見ていきましょう。『死に方のダンドリ』(ポプラ新書)の著者で医師の霜田里絵氏が、詳しく解説します。
1日に赤ワインをグラス1、2杯飲もう
欧米では、食事で動物性脂肪(飽和脂肪酸)をたくさん摂取する傾向があります。その結果、コレステロールが増え、血管の動脈硬化が起こりやすくなり、心筋梗塞による死亡率が高まります。
ところがフランスでは、血管障害による死亡率が他の国々より断然低いのです。その理由として赤ワインの消費量が多いからと言われています。
ワインには、脳の神経細胞に蓄積したアルツハイマー型認知症を引き起こすアミロイドβタンパクの凝集を抑制するポリフェノールがたくさん含まれています。実際、ワインを飲むとアルツハイマー型認知症が0.49倍にほぼ半減するという驚くべき報告まであるのです。
ワインに血管の動脈硬化を遠ざける効果があるということは、脳血管性認知症のリスクを下げることも意味しています。また、ワインには記憶に関係する海馬を活性化する効果もあります。ポリフェノールは白ワインより赤ワインに多く含まれています。ポリフェノールがたくさん含まれるぶどうの皮ごと発酵処理するためです。お酒を飲みたいなら、1日にグラス1、2杯の赤ワインにしましょう。
アルコール飲料を飲めない方も残念に思う必要はありません。ポリフェノールはぶどうの皮に含まれていますから、ぶどうを皮ごと食べればいいのです。近年は皮ごとたべるぶどうの品種もあります。「ナガノパープル」は皮ごと食べやすく、ポリフェノールが豊富です。
ぶどうジュースやカシスジュースもおすすめです。成分表示を見てポリフェノールの含有量が多いものを選んで、カロリーに気をつけながら適量を飲みましょう。
ワインでもジュースでも、お気に入りのワイングラスを準備して飲んでみてはいかがでしょうか。このとき、グラス磨きの布もいっしょに購入しておいて、時間に余裕があるときはグラスを丁寧に磨く時間を持ちましょう。薄く繊細なつくりのワイングラスを磨くときは力の入れ加減が重要になります。手先の感覚に神経を集中させ、手指を繊細に動かす作業は脳によって非常によいトレーニングになります。
霜田 里絵
医師・医学博士