「人生100年時代」の現代において、老化は避けられない問題となっています。今日から実践できる「身体と脳を若返らせるトレーニング」を見ていきましょう。『死に方のダンドリ』(ポプラ新書)の著者で医師の霜田里絵氏が、詳しく解説します。
今日からすぐできる…“不老脳”をつくるトレーニング
余裕があれば“不老脳”をつくるトレーニングにチャレンジしてみてください。特別な道具は必要ないため、今日からでもできるようなものがほとんどです。100歳まで自分の脳とつきあっていくために、体形だけでなく脳のメンテナンスも心がけましょう。
「太もも上げ」運動で大きい筋肉を鍛えよう
長くウォーキングを続けるために大きな筋肉を鍛えることにもぜひトライしてみてください。
まず、右足の太ももが床と平行になる高さまで上げます。最初はふらつくかもしれませんが、そのときは転倒しないよう、必ずどこかにつかまった状態でやってみてください。
次に、足を上げた状態で10秒間、そのままの姿勢を保ちます。10秒経ったら足を床に下ろします。
この「太もも上げ」運動を右足20回、左足20回、毎日朝と夜にしてみましょう。この運動では、姿勢や歩き方に重要な役割を果たす「腸腰筋」を鍛えることができます。腸腰筋は「大腰筋」と「腸骨筋」を合わせた呼び名です。大腰筋は背骨と大腿骨をつなぐ筋肉、腸骨筋は骨盤と大腿骨をつなぐ筋肉で、大きな筋肉です。
腸腰筋が衰えると骨盤が傾くため、よい姿勢を保つことができず、猫背になります。速く歩くのが難しくなったり、つまずきやすくなったりして、歩くのが億劫になります。腸腰筋を鍛えておくとウォーキングの距離を延ばしたり、スピードアップしたりすることができます。それが脳のトレーニングにもつながります。筋肉から成長ホルモンのマイオカインが出ることも期待できます。
「太もも上げ」運動に慣れてきたら、可能な人は次の動きも取り入れてみましょう。片足を上げているときに、もう一方の軸足でつま先立ちするのです。ただし、くれぐれも無理はしないでください。ふらつきそうなら、どこかにつかまって行ってみましょう。
「太もも上げ」運動+「つま先立ち」運動は、腸腰筋を鍛えつつ、ふくらはぎの筋肉を鍛えることができます。ふくらはぎの筋肉が鍛えられると、一層リズミカルに歩けるようになります。バランス感覚を鍛えるためのトレーニングとしても効果があります。