65歳から受け取れる老齢年金。これを66歳から75歳まで遅らせて受け取ることを「繰下げ受給」といいます。繰下げ受給は、受取年齢を遅らせるほど受取額が増えるのが特徴ですが、誰にとってもお得であるとは限らず、そこにはいくつかの落とし穴が潜んでいます。今回は、繰下げ受給で損をしない“とっておきの方法”をまとめました。
なけなしの貯金と「年金月14万円」で暮らす70代女性、冷房代が払えず「“タダで涼める”スーパーへ避難生活」が続くも…「店長のひと言」で人生が一変したワケ
悪い条件が重なれば誰もが下流老人に!
2015年、走行中の新幹線の車内で71歳の男性がガソリンをかぶって焼身自殺をするというショッキングな事件が起きました。逃げ遅れた女性が1人死亡し、28人が重軽傷を負うという…たいへん痛ましい事件です。
男性は月額12万円程の年金収入で、毎月4万円の家賃や住民税、健康保険料を支払い「どうやって生活すればいいのか? 35年も年金の保険料を払ってきたのにこれはひどい」と受給額についての不満を漏らしていたそうです。
男性は自身の生活苦について知り合いの区議に相談していたようですが、生活保護の申請はしていなかったとのこと。ネット上では「社会への報復ではないか?」「鬱(精神疾患)だったのでは?」「孤独が原因だ…」など、さまざまな考察が飛び交いました。その心境は本人しか知り得ませんが、貧困にあえぎ孤立する老人の姿はけっして他人事ではなく、未来の自分かもしれません。
ワ:深刻な社会問題だね…。
2015年、「下流老人」という言葉が、新語・流行語大賞にノミネートされるほど話題になりました。下流老人とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」のことで、当時の国内に600万〜700万人いるだろうと推定されました。
現代の日本人の高齢化や物価高が進んでいるにもかかわらず、年金はこの先さらに減り続けるという状況を鑑みると、下流老人はますます増加していくことでしょう。下流老人という言葉を作った人は、このままでは日本人の9割が下流化すると警鐘を鳴らしています。
ワ:9割も⁉
今年の夏(2023年)は記録的猛暑でした。熱中症や脱水が警戒され「家の中では我慢せず、無理せず冷房をつけましょう」とさかんにアナウンスされました。それでも高齢者が冷房を使用せず、室内で熱中症に倒れ搬送されたニュースは後を絶ちません。エアコンを使用しない理由の1つが、電気代を節約するためです。
ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油高等の影響で、電気代は急上昇しています。マコさんのように、避難のできる、冷房の効いた公共の室内施設を見つけておきましょう。
ワ:うんうん、無理は禁物だね。
スーパーで見切り品や割引シールの貼られたものだけをもってレジに並ぶ老人。ゴミ箱に手を突っ込んで、アルミ缶や新聞を集めている老人。長生きは嬉しいはずなのに、お金がないと生きるのが苦しいだけになってしまいます。この過酷な現実が、わが身や大切な人に起きるかもと考えると切ないですね。
ワ:貧しい人が増えると軽犯罪が増えてしまうって聞いたことがあるよ……。
調査によると、高齢者の犯罪動向はほぼ一貫して上昇傾向にあります。高齢者犯罪のなかでも、特に70歳以上の犯罪は約76%を占めます。その内訳は窃盗の比率が高く、窃盗のなかでも万引きが半数以上。特に女性高齢者の罪状の約9割が窃盗であり、そのうち万引きの比率は約8割と顕著に高くなっています。
刑務所では住む場所と、三度の食事を保障されていることから「捕まって刑務所に入りたかった」という動機で万引きをした人もいます。これが現代日本の悲しい現実です。
ワ:誰もが安心して長生きできる社会になるといいね