年金14万円も「本当にお金がない」…おひとり様の高齢者が確信する「残酷すぎる最期」

登場人物
ゆめこさん……大正時代からタイムスリップしてきた26歳女性。なぜか、現代社会にめちゃくちゃ詳しい。全文太字部分

・おじさん(以下、解説)……解説担当

ワイ(以下、ワ)……ゆめこさんの白い飼い犬。お菓子好き。ミーハー。
相田 寛治​(以下、主)……50歳、単身、技術職

主:俺の名前は相田寛治、50歳。(2023年現在)そろそろ定年退職の時期も見えている今日この頃、実は健康や仕事よりも不安を感じている問題がある…。

俺は独身だ。大学生の頃に建築事務所への就職を目指していたが、就職氷河期に襲われた。卒業が近づいてもなかなか内定が出ず、わらをも掴む思いで、大手ゼネコンの下請け工事を行う小さな建設会社になんとか就職した。

現場の仕事は身体を酷使するうえ、うちの会社はなかなか給与が上がらない。辞めてしまう人も多く、慢性的に人手不足で毎日仕事に追われていた。気づけばいつの間にか50になっていた。結婚や将来を考える余裕もなかったな…。

解説:政府調査によると生涯未婚率は2020年、男性は28%、女性は18%です。

現在は多様性の時代です。寛治さんのように、生涯未婚を選択する人は以前より増加しました。

ワ:ふむふむ。ということは、寛治さんの周りにも同世代で独身の方がいるのかな?

主:確かに俺の周りの同僚たちも結婚していない奴らは多くいる。ただ、そうした仲間内で出る話題と言えば、もっぱら老後の不安のことばかりだ。

解説:高齢者の生活の基盤となるのはまずは公的年金です。政府調査によると、厚生年金受給者の平均受給額は14万円ほど。

年金だけで暮らすには1人暮らしでも心許ない金額ですね。

解説:たとえば、配偶者がいる場合は、配偶者の分の国民年金がプラスされ、平均的なサラリーマンのご家庭なら、月23万円ほどの年金を手にすることになります。

ワ:え~! 9万円も差が出てくるの!?

もちろん単身と家族がいる場合では出費も異なりますが、これだけの差が出るのは大きく感じてしまいますね。

主:正直な話、家族がいれば金銭面でも助かるよな…。最近は自分が年を取っていくことへの不安がどんどん募っていくんだ…。

年を取れば当然できることは減っていく。万が一この先寝たきりになるような病気になったり、認知症になったりして自分で自分の面倒を見ることができなくなったら…。そう考えるとどうにも気落ちしてしまう。

解説:支援や介護が必要となった時、おひとり様だと身内に頼ることは難しく、事業者に頼ることになるでしょう。ですが事業者に頼るとなれば当然そこでもお金が必要になってきます。

寛治さん、ちなみに貯金は?

主:うーん、一応はそれなりに節約して1,000万円くらいはある。ただ、今や老後のために2,000万円は貯金が必要、なんてテレビで言われている時代だからな…。正直、1,000万円じゃ心もとないよな。

それに貯金がいくらあっても、ある日突然病気になって誰にも気づかれずに…なんて想像すると夜寝るのすら怖くなってくる。

ワ:ゆめこさん、何か寛治さんを元気づけられる話はある?

そうですね、時代の変化に応じて昔ほど「結婚が絶対」という空気はなくなっていることもあり、生涯独身を貫く層が増え、その世代が高齢を迎えているのが現代です。寛治さんと同じように老後の生活に不安を感じている人も増えているかもしれません。

解説:令和2年の政府調査によると、「おひとり様の65歳以上世帯」は5年前の調査から113%増となりました。

全国5,570万4,949世帯のうち、
「65歳以上世帯員がいる世帯」は2,265万5,031世帯

「65歳以上世帯員のみの世帯」は1,307万3,898世帯、

うち、「おひとり様の65歳以上世帯」は671万6,806世帯。

↑5年前の調査から113%アップ

ワ:あれ~? 寛治さん、何か熱心に読んでるね!

主:ふーむ、サービス付き高齢者向け住宅かあ。

寛治さんが読んでいるサービス付き高齢者向け住宅とは「高齢者住まい法」の改正により創設されたバリアフリー構造の住宅で、看護師さんやスタッフさんの巡回などによる安否確認や生活相談などのサービスによって、高齢者の生活を支えてくれる住居のことです。

主:こういうところに住めたら安心だが、家賃は普通の家より高いから元気なうちは避けたい。ただ、今のうちにこうした住居や老人ホームについて知っておくのは大事だから、今ネットや資料を取り寄せたりして調べてるんだ。

転ばぬ先の杖って奴だ。

ワ:なるほど~!もしもの時に頼れる場所があるって知ってれば安心できるよね!

主:俺は若い時からすぐに不安になる性格だったから、まずは備えることに注力しようと思うんだ。

ワ:うんうん、どんなことも準備しておくのは大事だね!

これからも健康に気を付けながら不安のない老後を迎えられるといいですね。