身内が亡くなった後、故人が契約していた公共料金や銀行での手続きが必要になります。「死去のあと、すぐに銀行口座が凍結されてしまって、葬儀の費用や生活費を引き出すことができなくて困った」という話を耳にすることがありますが、実際には「役所に死亡届を出したからといって銀行口座の凍結(入出金停止)が自動的に行われるということはない」と、相続実務士の曽根恵子氏は言います。曽根氏の著書『身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本』(扶桑社)より詳しく見ていきましょう。
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「世帯主変更届」を提出する必要がある人の条件とは?
死後14日以内に世帯主変更手続きをしないと罰金も
世帯主が亡くなった場合、遺族の世帯構成によっては「世帯主変更届」の提出が必要となる場合があります。
世帯主となるためには、15歳以上であることが条件です。そのため遺族の世帯員が「妻だけ」「妻(母)と15歳未満の子」「15歳以上の子1人」といった場合は、世帯主になれるのは1人しかおらず、新しく世帯主となるのがだれなのか明らかです。この場合は自動的に世帯主が変更になるため、届け出の必要はありません。一方で、残された世帯員に「故人の配偶者と15歳以上の子の両方がいる」場合には、だれが世帯主になるかが明確でないため、世帯主変更届を提出しなくてはなりません。
世帯主変更届は、世帯主が亡くなってから14日以内に提出する必要があります。なお、身内が亡くなった際に市区町村役所へ「死亡届」を提出すると、戸籍に死亡が記載され、住民票から削除されるので、このときにあわせて届出を行うのがよいでしょう。
世帯主の変更を14日以上せずにいると、住民基本台帳法違反となり、場合によっては5万円以下の罰金が課せられることもあるので、忘れずに手続きをしましょう。
世帯主が亡くなったら新世帯主を届け出る
残された家族(世帯員)が2人以上の場合、世帯主変更届(住民異動届)を市区町村役所に提出して世帯主を変更する必要があります。ただし、15歳未満の子は世帯主になれないので、残された家族で15歳以上の人が2人以上いる場合に、手続きが必要となります。
健康保険は返却手続きをしカード類は適切に破棄を
世帯主の変更手続きとあわせてやっておきたい手続きがあります。残された遺族が、故人が加入していた健康保険の被保険者である場合、亡くなった翌日から健康保険が利用できなくなってしまうので、健康保険の資格喪失手続きも行っておきましょう(変更方法に関しては、40ページで詳しく説明しています)。
このほか、印鑑登録カードなど、故人が行政から発行された証明書や資料を持っていた場合は、これらを返却・破棄しなくてはなりません。なかには返却期限が定められているものもありますが、定められていなくとも速やかに返却手続きをとるように心がけてください。破棄する場合もハサミで断裁するなどの処分方法があるので、ウェブサイトなどで処分方法を調べてから適切な方法で処理を行いましょう。
曽根 恵子
株式会社夢相続 代表取締役
相続コーディネイター