家庭内いじめにあっていた夫、定年を前に離婚を決断

<家族構成と登場人物の属性(すべて仮名、年齢は現在)>

夫:江口孝弘(仮名/55歳)、会社員(年収700万円) ※今回の相談者

預貯金 800万円

退職金 700万円(予定)

妻:江口清美(仮名/49歳)、専業主婦 

財産不明

子:江口璃々花(仮名/17歳)、高校生

孝弘さんは「このまま結婚を続けても、なにかいいことはあるのだろうか」とため息をつきます。

たとえば、妻が用意する夕飯はスーパーの半額弁当だけ。そして孝弘さんの服だけ洗濯せずに積まれたままだったり、孝弘さんの書斎だけ掃除機をかけずにそのままだったり……。家庭内で「いじめ」を受けていたのですが、それだけではありません。

夫婦のあいだにほとんど会話はなく、どうしても伝えたいことがあれば、娘さんを通すようにしています。1つ屋根の下で暮らしているのに、なるべくすれ違わないよう、時間帯をずらして外出したり、帰宅したりする「家庭内別居」の状態。もちろん、性生活はまったくないので孝弘さんは「離婚できれば、それが一番です」と言います。

しかし、孝弘さんが「別れて欲しい」と切り出しても、妻は「わかりました」と2つ返事では応じませんでした。妻はどのような人物なのでしょうか?

「(娘さんに)養ってもらう」というのが口癖。そのため、娘さんを食いっぱぐれのない看護師にさせるべく、看護学校を受験させるつもりです。妻は自分で努力せず、ひとを頼ろうとする他力本願なタイプです。

男性はどんな場合でもタダで離婚できるわけではありませんが、妻が離婚を拒んでいる場合は、相応の代償を払わなければなりません。具体的には子どもの養育費、慰謝料、財産の分与、そして忘れてはならないのは離婚するまでの妻の生活費(婚姻費用)です。離婚をお金で買うのだから手持ちの財産が目減りするのは避けられません。

離婚の値段

相応な養育費

第一に養育費ですが、家庭裁判所が公表している算定表に夫、妻の年収を当てはめて計算するのが一般的です。たとえば、妻がパートタイマーの場合、夫の年収が900万円、妻が100万円、子どもが17歳なら養育費は毎月12万円が妥当な金額です。一方、夫婦が共働きの場合、夫の年収が500万円、妻が400万円、子どもが12歳と14歳なら、養育費は子ども2人で毎月4万円です。

孝弘さんの場合(年収700万円)、妻は専業主婦なので上記の算定表に照らすと毎月11万円が妥当な金額です。264万円(毎月11万円×24ヵ月)とは別に看護学校の学費(入学金、授業料、施設利用料など)として300万円を支払うことを約束しました。