一般に砂糖は健康によくないと言われ、甘みをキープするために人工甘味料で代替している商品も少なくありません。しかし、本当に人工甘味料を使えば糖尿病発症などのリスクを減らせるのでしょうか? 本記事では米国老年医学の専門医である山田悠史氏による著書『健康の大疑問』(マガジンハウス)から一部抜粋して、砂糖や人工甘味料に関する調査結果について解説します。
人工甘味料が糖尿病発症リスクを減らす?
著者は、実は何を隠そう「スイーツ男子」です。しかし、昔から「甘い物はダメ」と言われ続けてきたからか、スイーツに対して少なからずの罪悪感を持つこともないわけではありません。そんな時、かわりに手が伸びてしまうのが、人工甘味料や果物です。
しかし、砂糖は本当にダメなのでしょうか? 砂糖がダメなら、人工甘味料や果物にすれば良いのでしょうか? そんな疑問に答えようとしている論文があるので紹介します。
この論文は、イギリスのBMJと呼ばれる医学雑誌に掲載された、「メタ分析」と呼ばれる手法を用いた論文です※1。
私自身もこのメタ分析という手法を用いて研究をすることがあります。この手法で研究を行う場合、基本的に解析対象となるデータは新たに集めるのではなく、これまでの研究ですでに報告されているデータを用いることになります。このため、比較的大きなデータを扱うことができるというメリットがあります。
結果として、ここで紹介する研究では、約1000万「人年」ものデータを扱っています。ここで、「人年」という単位は、「人数」×「年数」を表す単位です。例えば、100万人のデータが10年分あれば、1000万人年ということになります。
この膨大なデータから、砂糖含有飲料、人工甘味料含有飲料、フルーツジュースそれぞれの消費量と2型糖尿病の発症との関連性について評価をしています。