「年間の医療費が10万円以上かかると控除が受けられる」……よく知られていることでしょう。しかし、セカンドライフも現役時代と同じ認識でいると知らないうちに損をしていることも。老後に現役時代と比較してコスト増となりやすい「医療費」において、あとで後悔しないためには、正しい知識が必要です。本記事ではYさんの事例とともに高齢者の医療費負担について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。
無知でした…〈年金210万円〉の70歳元サラリーマン、〈医療費年9万円〉で大きな勘違い「今までなんてもったいないことを」【FPの助言】
なんてもったいないことを…
妻が亡くなってから一人寂しく引きこもりがちだったYさん。今まで、医療費は年10万円超えたら確定申告と思い込んでいました。
Yさんのようにひとつの情報のみでは不足することもあります。おひとりさまになってから、一人で過ごすことが多かったYさんでしたが、子どもに連絡をとります。引きこもっていては情報に疎くなるので、ボランティアでもやりながら、人とのつながりを持ちたいと思いますと、少し微笑みながら話してくれました。
今回のYさんは、生計を同じくしている子どもと医療費を合計して医療費控除を申告したほうがメリットが大きいケースでした。このように、自身の年金に所得税がかかっていない、もしくはそもそも税額が少ないとメリットをあまり享受できないというケースもあります。個々のケースによりどちらが得かは変わるため、一度専門家へ相談してみることをお勧めします。
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表