できれば元気なうちにお片づけ

親が高齢になったら、実家の片づけを手伝うことをおすすめする。私の周りの大人女子たちも、実家の片づけに通っている。嫁として、夫の実家の片づけに通っている女子もいる。

「お義父さんが亡くなって、いまはお義母さん1人なんですけど、夫の部屋もかつてのまま残っているので、まずはそこから片づけています」

高齢者の様子を見ながら、いずれ来る日のことを考えつつ、片づけておくほうがいい。ホームに入ってから、亡くなってからでは負担が大きい。

手伝えば思い出を紡ぎながら、親と一緒に取捨選択できる。「夫のアルバムを一緒に見てたら、一日終わっちゃったんです」という日もあるだろう。が、そうやっておつきあいネタを見つけるのも、高齢者を元気づけるのによい。

【豆知識】

親との片づけ……生前整理では、親と喧嘩になるという話もしばしば耳にします。「親が納得して片づけられる」と「捨てる判断は親にゆだねる」を軸に進めてはどうでしょうか。また、親には片づけられない理由があることも。親の考えや思いに寄り添って進めましょう。

心情的に片づけられない場合

東京住まいで、神戸の実家に月2回通っている大人女子もいる。父親が他界し、母親が1人で住んでいるから、たびたび電話をしたり、月2回は行かねばならない。

「認知症が進んでいるので、病院の付き添いもあるんです。私がドクターの話を聞いておかねばならないので」

実家に滞在する際には、母親がふだんできない、日常の片づけもしている。しかし「家じまい」という意味では、片づけていないという。

「実家は母の領域なので、私が手を出すことは心情的にできないんです。今後施設に入ったとしても、お正月やなんかに帰ってくる家だし、『片づけは死んでから、業者に頼んで』と母にも言われているので」

彼女のご友人で、夫の実家を片づけて貸し出している人がいるという。

「家は空けると傷むからといって、お義母さんが施設に入居した途端に全部片づけちゃったんです。でもこれは、実母じゃないからできたんじゃないかな。私は、夫の実家も、夫の気持ちを考えると片づけられない」

母親も、一度は片づけ始めたものの、思い出のあるものは捨てられず、そのままになっているという。

「人によると思いますが、亡くなったあとのことを考えて親の家を片づけられる人は、あまりいないんじゃないかな。そもそも介護で手いっぱいですし」

彼女は仕事しながらのお世話だから、大忙しだ。母親は自活してくれているので、介護はしないで済んではいるが、「家じまい」という意味では物理的にも無理だろう。

しかし、時間的に余裕がある専業主婦ならば、ちょこちょこお片づけをするのは可能なのではないだろうか。