大人女子の出かける“言い訳”に

コロナ禍で自粛生活慣れしたため、高齢でもないのに出かけない大人女子が増えた。また、夫がリモートワークとなり、コロナ禍が明けても週の半分ぐらいしか出社しないこともある。となると、主婦は出づらい。

さらに、夫が退職して一日中家にいるようになった場合、それまで気分転換に日中方々に出かけていた主婦たちも、すっかり家に軟禁状態になってしまう。そんな大人女子たちの出かける言い訳になるのが、親の家の片づけだ。

残されて一人暮らしの親ならばなおさら、様子見がてら片づけに行ってくる、というのは、いい言い訳になるし、長時間、家から離れられる。私の友人は高齢出産で産んだ子どもが小さいとき、よく実家に通っていた。高齢になった親の様子見がてら、孫の相手もしてもらえるので、いい気分転換になったのだ。

「遺品」になる前に

私のように、親に告知してなかったために準備することもできず、亡くなってから慌てて形見分けをした場合、「あー、取っときゃよかった」という失敗もある。

だから、元気でいてくれる親と一緒にお片づけをするのは、親に形見をもらういい機会になる。会いに来てくれて、一緒に思い出を語りながらアクセサリーや着物を出して見たら、それがどういうものかもわかるし、「これはあんたにあげるよ。これは〇〇に」という展開にもなるだろう。

着物なんかは開いて畳みなおすだけでも、風が通る。虫干しできないまでも、保存していく上では大切な作業だ。

私は自分自身のアクセサリーも、すでに少しずつ娘にあげている。年とともに金属アレルギーがひどくなり、ネックレスは着けられないから、娘が20歳になってから少しずつ、譲り渡しているのだ。


横森 理香
一般社団法人日本大人女子協会 代表
作家/エッセイスト