老後資金の準備ができていないのに、60歳目前になってしまったサラリーマン。今からいったい何ができる?

ゆ:カズキさんは年収545万円ですので、早くから老後資金の準備をしていれば、それなりの貯蓄ができたはず。50歳の時点で「ねんきん定期便」で年金の少なさに気づいていたなら、その後は少しでも多く貯めれるよう努力するべきでした。

のんきな性分なのか、危機感をもたず59歳を迎え、定年を目前にようやくあせり始めたようです。老後資金の準備に出遅れてしまった人はこれから何ができるでしょうか?

ワ:カズキさんは年金を繰り下げる制度を使っていたね。

ゆ:65歳から70歳まで5年繰り下げると、16万円の年金を22万7,200円まで増やすことが出来ます。これは大きいですよね。問題は70歳までの生活資金があるか? です。もし60歳以降に働けないとなると、貯蓄がなければ繰り下げ受給は無理です。それどころか繰り上げ受給をしないといけません。

幸いカズキさんは健康で70歳まで働くことにしたので、その間は年金をもらわなくても生活できそうです。

お:政府調査によると、シニアの平均給与は次の通りです。

55〜59歳男性の平均給与は687万円、

60〜64歳で537万円(22%減)で、

65〜69歳で423万円(さらに21%減)です。

ゆ:これらを参考に、カズキさんの平均給与は43万円、34万円に推移すると仮定しましょう。

お:カズキさんは現役時代高給取りだったので、実際には給与の減少率はもっと高いかと思いますが、ここでは平均と仮定して計算してみましょう。

ゆ:カズキさんは定年退職後、いくら稼げるでしょうか。

支出を22万円とすると、

(43-22)×12カ月×5年=1,260万円、(34-22)×12カ月×5年=720万円で

合計1,980万円の計算です。

ゆ:あくまでもざっくりとした仮定の話ですが、定年後の10年間で1,980万円貯めることができますね。

ワ:でも、実際は70歳まで元気に働けるかは分からないね…。

ゆ:そうですね。こればっかりは誰にもわかりません。仮に繰り下げ途中に、70歳を待たずに健康に不安になったときは、その時点から年金金受給を申請できます。また、65歳にさかのぼり本来の受給額を一括でもらう方法もあります。さらに、国民年金だけとか厚生年金だけとか一方を受給するという選択や、カズキさんは年金をもらい、奥様は繰り下げするという方法も可能です。

実は繰り下げ受給をしている人の割合は、国民年金が1.8%、厚生年金が1.2%とそんなに多くありません。繰り下げ受給にはデメリットもあるからです。

ワ:たとえば?

ゆ:まず、長生きできなかった場合、総受給額が少なくなりもらい損になってしまいます。年金受給が始まってすぐに亡くなってしまったなら、当然年金もそこでストップします。

お:次に、加給年金を失う可能性があります。加給年金とは、被保険者期間が20年以上ある人が、65歳になった時点で65歳未満の妻を養っている場合、妻が65歳になるまで厚生年金に加算して支払われるお金のことです。繰下げ待機中に奥さんが65歳になると権利を失います。

ゆ:また、繰り下げ受給によって年金額が多くなった分、税金や社会保険料の負担も多くなり、「手取り額で考えると、思ったよりも年金が増えない」というケースもあります。

ワ:いつからもらい始めるのが得なんだろう?

ゆ:すぐに年金をもらわなくても生活できる人は、まずは1年間受給開始日を伸ばして状況を見て考えるのがよいでしょう。人それぞれ条件が違いますので、一番お得な受給開始のタイミングを知りたい場合は年金事務所の窓口で相談することをおすすめします。

ワ:カズキさんは健康に自信があるって言ってたし、70歳まで頑張るつもりだったよね。

ゆ:そうですね。健康的な生活を心がけ、これから10年間、学校で活躍してほしい! その間の給与で貯蓄をすれば、さらに資産を増やすこともできます。引き続き、カズキさんを応援しましょう!

まとめ

ゆ:老後資金の準備に出遅れてしまった人は、どうやって貯蓄を増やせばよいでしょうか? 

方法の一つに、年金の繰り下げ受給があります。70歳で42%、75歳では84%増額できます。60歳以降も働くことができて、年金をもらわなくても一旦は生活していける人は、繰り下げ受給を検討してみましょう。

ですが前述のとおり、繰り下げ受給にはデメリットもあります。自分のケースでは受給額がいくらになるかをしっかり確認してください。

また、老後においては健康であることが一番の財産です。日々体力的にも精神的にも健康的な生活を心がけましょう。

<ゆめこさんの部屋>

ワ:ねーねーゆめこさん

ゆ:何?

ワ:ワイ、低所得だから、年金額とのギャップにおびえることもないし、これはこれで平和な人生だよね。

ゆ:だまらっしゃいっ!

ワ:えっ。

ゆ:今からそんなことをもらすなんて、負け犬の遠吠えよ。私たちは、泣く子も黙る、高所得YouTuberを目指さなきゃいけないのよ!

ワ:なんと!

ゆ:犬も歩けば棒にあたる、つまり歩み続けるのよ我々は!!!!

ワ:ゆめこさん、ついていきます!

(参考)

国税庁令和3年民間給与実態統計調査

厚生労働省令和3年厚生年金保険・国民年金事業年報

【定年後どうする?】年収545万円・59歳大企業サラリーマン〈ねんきん定期便〉記載の見込額に呆然「なにかの間違いでは!?」【老後の生活】