株式投資はリスクを引き受けることで「年間5~6%」の報酬が得られる

山崎先生:よく、リスクって言葉使うでしょう。リスクって何だかわかる?

大橋:ハイリスク、ハイリターンとか言うやつですよね……。減るかもしれないことですか?

山崎先生:リスクというのはそれだけじゃなくて、「減るかもしれないし、増えるかもしれない」ってことなの。

大橋:増えるほうもリスクに含まれるんですね……。

山崎先生:だけど、たいていの人はリスクを嫌うんだよね。朝、起きるたびに貯金が増えたり、減ったりしてたらいやでしょう?

大橋:それはいやですね……。

山崎先生:株式投資ではそのリスクを引き受ける報酬として、リスクプレミアムがもらえるようになってるの。

リスク……増えるかもしれないし、減るかもしれないこと

リスクプレミアム……リスクを受け入れることによって得られる報酬

※リスクプレミアムはリスクのない資産(国債など)の金利にプラスして、年間どのくらいの収益が期待できるかをパーセントで表します。

山崎先生:それで、プロの投資家や学者の間では、株式への投資において年間5%〜6%くらいのリスクプレミアムが得られると考えられている。私もそう思うからすすめているし、いままでもそんな感じで増えてきた。(図表2)

出典:『新NISA対応 超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)より抜粋
[図表2]現金とオルカンの比較 出典:『新NISA対応 超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)より抜粋

「年間5%~6%」の根拠は…

大橋:どうしてプラス5%なんでしょう。山崎さんがそう思うだけで、個人的な感想じゃないですか。

山崎先生:「GPIF」という国民から集めた年金を、運用して増やそうとしている国の機関があるんだけど、彼らは株式について、だいたい金利プラス5%くらいの計画を立てて、実際、それくらいの利回りで毎年運用してきた。株式のリスクプレミアムはこれくらいで考えておくのは、別に特別なことではなく世間並みだと思うよ。もちろん、絶対に得られる訳ではないけどね。

※ GPIF……年金積立金を運用している公的な機関。世界最大級のお金をインデックス運用している。
※ 参考値ですが、過去15年において世界全体の株式指数の年間平均リターンは約6〜7パーセント程度と言われています。(「iシェアーズ MSCI ACWI ETF」の運用実績より算出)

大橋:うーん。ちょっとまだわからないんですけど……、いままでは経済成長してきて株価が上がったかもしれませんけど、世界全体の株を買ったところで、これからは、日本のように少子高齢化する国は多いし、景気が悪くなったりするかもしれないのに、それなのに、どうしてプラス5%ももらえるんですか。

山崎先生:そこは、バカが勘違いしやすいところだね。

大橋:バカって……。

山崎先生:リスクプレミアムは、あくまでもリスクをとることに対して生じるものなので、利益成長の予想がゼロやマイナスでも、成長しないという予想が織り込まれているから、「高成長で高い株価」に投資するのと「低成長で安い株価」に投資するのとでは、どちらに投資したら得なのかはざっくり五分五分だね(図表3)。

出典:『新NISA対応 超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)より抜粋
[図表3]景気と株価の関係(イメージ) 出典:『新NISA対応 超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)より抜粋

大橋:経済成長するから株価があがるというわけでもないんですね……。