理解できない会社には投資しない

「投資は合理的であらねばならない。理解できないなら金を出すな」。これは、米国の偉大な投資家、ウォーレン・バフェットの名言の1つである。

この言葉の肝は「理解」の2文字にある。投資家にとっての最大の弱みは「理解できない」ことであるからだ。繰り返し強調してきたが、株式投資では事業内容を自分で理解できる会社の株を買うことが原則だ。

事業内容が理解できないなら、無理に理解できるようになる必要はない。バフェットが説いたようにその企業の株を買わなければよい。そうすることによって、「理解できない」という克服困難な弱みと正面から向き合わずに避けて通ることができる。

これはシンプルで合理的な考え方だが、実践するのはそう簡単ではない。人間には、よく分からないものを魅力的と思い、分かりやすいものをつまらないと感じる心理的な傾向があるからだ。理解できないものには投資しないというルールを堅持するには、最初は魅力的に映った企業について理解できない点を明確にして自覚することが求められる。「理解できないことがこんなにある」と気付けば、リスクの高さも確認できるはずだ。

理解できない点を明確にする具体的な方法として、私は常に[図表2]に示した5つの問いを検討することにしている。決算書や会社資料を読み込んでウラ(確証)を取り、それでも明確に答えることのできない問いが残る場合は「様子見」と判断して大きな投資はしない。

出所:『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(日経BP)より抜粋
[図表2]5つの問い 出所:『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(日経BP)より抜粋


奥山 月仁
会社員投資家