1976年、埼玉県の与野市で日本初のタワーマンションが建設されてから、もうすぐ半世紀になろうとしています。価格は高値で推移しており、「割高すぎる」と考える人も多いでしょう。しかし、それでも売れ続けるのはなぜなのでしょうか。『60歳からのマンション学』(講談社)の著者でマンショントレンド評論家の日下部理絵氏が解説します。
タワマン=成功者の証!?「ステータス」という魅力
一般的には、「成功者の証」などとも言われ、憧れられることも多いタワマン。実際に住んだとしてそのメリットはなんだろうか?
まずはステータスがあげられるだろう。タワマンは再開発エリアに建てられることが多く、街並みの変化とともにニュースで取り上げられたり、駅や街に大きな広告が出たり、そのエリアのランドマーク的な存在として注目を集めることもある。誰もが知る「あのマンション」にお住まいというわけだ。
完成後も豪華なエントランスや共用施設、高層階にあるラウンジやゲストルームからの眺望など、タワマンだからこそ得られるステータスがある。
全国的にタワマンが増え過渡期とはいえ、ランドマーク性やステータス感、駅近タワマンは将来の売却時にも大きなアドバンテージになる。
特にいまは新築のタワマンが高値で推移しており、中古でも高値で売ることができる。つまり立地にもよるが、タワマンは資産価値が落ちにくい物件ということになっている。
特に利便性の高い都心部、都心から離れていても駅近など利便性の高い立地、駅直結のタワマンや基幹駅(新幹線や快速が停まるなど)の駅近はおすすめである。多少割高になっても値崩れしにくく売却する時も有利である。
もし購入時の価格から、大きく下がらない価格で売却できれば、住宅ローンも完済しやすく住み替えがスムーズ。何かの理由で一時的に転居が必要になった場合、貸しやすさもメリットとなる。ただし、住宅ローン返済中は原則賃貸できないため、その点は注意したい。
タワマンは最寄り駅をはじめとした大規模な再開発エリアに誕生することも多いので、飲食店やクリニック、買い物できる各種ショップが入ったテナントビルが新設されるなど、入居時から生活環境が整っていることが多いのも魅力のひとつだ。人が集まることでより周辺環境が発展して利便性が高まり、サービス面も充実していく。これもタワマンが割高でも選ばれる理由のひとつとなっている。
日下部 理絵
マンショントレンド評論家
オフィス・日下部 代表