「長生きがリスク」とされる日本の辛すぎる現状

高齢者が今後も加速度的に増えていく中で、状況はますます苦しくなっていきます。内閣府の調査(図表2)によると、1950年時点では高齢者1人を12.1人の働き手(15〜64歳)で支える状況だったのが、2015年には、高齢者1人を労働者2.3人で支える状況になっています。さらに2045年には、高齢者1人を労働者1.5人で支えなければならなくなると予想されています。

こういった状況の中で、昔のように長生きを素直に喜べない! という状況が現実のものとなりつつあります。こうした新たな人生のリスク、すなわち、長生きしすぎて生活資金が底をついてしまうリスクのことを「長生きリスク」と呼びます(英語ではlongevity risk)。長生きリスクという言葉は、日本だけでなく、先進国にとって最大の懸念事項になっています。

出所:『死に方のダンドリ』(ポプラ新書)より抜粋
[図表2]高齢化の推移と将来推計
出所:『死に方のダンドリ』(ポプラ新書)より抜粋

図表2を見てください。2030年頃から日本の総人口は1億2千万人の大台を割って急速に減少していき、高齢者の割合は現状の3割から4割に向かって急増していくことになります。

バブル崩壊後の1990年代後半から現在に至るまでの期間は“失われた30年”と言われていますが、これからは“縮んでいく30年”の始まりです。今後の日本を襲う怒濤の高齢化と人口減少から目を背けることなく、真剣に考えるタイミングが来ています。

冨島佑允
クオンツ/データサイエンティスト/多摩大学大学院客員教授