年金月19万円…「ねんきん定期便」を過信した大卒サラリーマン、65歳で受け取る「驚愕の年金額」

登場人物
・ゆめこさん(以下、ゆ)……大正時代からタイムスリップしてきた26歳女性。なぜか、現代社会にめちゃくちゃ詳しい。

・ワイ(以下、ワ)……ゆめこさんの白い飼い犬。お菓子好き。ミーハー。

・有識者のおじさん(以下、有)……難しい単語や複雑な制度を解説してくれる物知りな優しいおじさん。

・歩歩(以下、主)……今回の主人公。50歳独身の平均的なサラリーマン。

主:俺の名前は歩歩。中規模のメーカーに勤めている。50歳になった今年からはねんきん定期便が届くようになったので、それをもとに老後の生活をシミュレーションしている。

年金が19万円だから毎月の生活費が22万円として、85歳まで生活するなら今の貯金でも十分だな! これだけきちんと計算しておけば、老後の生活が苦しくなることはないだろう! 引退した後は、学生時代みたいにフィルムカメラを使って写真を楽しもうかな。

ゆ:歩さん、本当にその計算は合っているのでしょうか?

主:ええ? 俺はねんきん定期便の年金額をもとに計算してるんだから、問題なんてあるわけないだろ!

ゆ:ねんきん定期便は、年齢によって記載内容が異なるので注意が必要ですよ。こちらが、全員共通で記載されるものです。

①「直近1年間の年金の月別納付状況」
②「保険料納付額の累計」
③​「年金加入期間の累計」

有:「50歳未満」の方は、この3つに加え「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されます。「50歳以上」の方は、この3つに加え「老齢年金の種類と見込み額」が記載されています。

「50歳未満」の方にのみ記載される「これまでの加入実績に応じた年金額」は文字通り、加入実績をもとに年金額を算出されたものです。一方、「50歳以上」の方にのみ記載される「老齢年金の種類と見込み額」は現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定して算出されたものです。今後の加入状況や経済動向などによって変わります。

ワ:じゃあ、今後、加入条件が変わる予定のない人は、概ねこの「見込み額」どおり給付されるんだね。

主:俺はこのまま60歳の定年退職まで現在の会社に勤め続けるつもりだ。50歳を境に「ねんきん定期便」の記載内容が変わったからって、実際に俺は年金約19万をもらえるはずだぞ。

ゆ:確かに、今の歩さんの収入だと、65歳から給付される年金額は月19万円程と考えられます。しかし、歩さんは重要なことを見落としています。年金から天引きされる額を含んで計算していますか?

主:ええ? 年金から天引き!?

ゆ:年金は「額面」と「手取り」が違うんです。

有:年金から天引きされるのはこちらの項目です。

年金から天引きされるもの

・「所得税」
・「住民税」
・「介護保険料」「国民健康保険料」または「後期高齢者医療保険料」

まず、「所得税」が天引きされます。公的年金は雑所得となり、所得控除額(120万円+各種控除額)を引いた所得金額に課税されます。

「住民税」は、所得金額(年金額から120万円を差し引いた額)から社会保険料や控除額を差し引いた額に、自治体ごとに定められている税率をかけ、調整控除額を引き、一律の均等割りを加えて計算されます。

また、65以上の年金受給者の場合「介護保険」は第1号被保険者の保険料が引かれます。年齢に応じて、これらの保険料が引かれます。

・65歳65歳以上75歳未満であれば「国民健康保険料」
・75歳以上、または重度障害などで後期高齢者医療保険制度に該当する人は「後期高齢者医療保険料」

主:じゃ、じゃあ実際に俺がもらえる年金は…