便利なアイテムを活用し、若いときから採尿に慣れさせる

尿検査は、泌尿器系の病気や糖尿病の診断などができる検査です。猫の場合、多くの病気を早期発見できるので、若いうちから自宅で採尿して定期的に検査をすることをおすすめします。

とはいえ、猫の家での採尿は犬とちがって難しいですよね。特にナイーブな性格の子は、いつもとちがう動きをすると、敏感に感じ取って途中で排尿をやめてしまうことも。

動物病院にもよりますが、一般的なものはスポイトや注射筒(シリンジ)、棒の先にスポンジが付いたもの(ウロキャッチャー)を渡され、それに尿を取ってきてください、といわれます。容器がもらえない場合は、お弁当のおしょうゆ入れなどスポイト式のきれいな容器でもOKです。

まずは、猫さんがトイレに行ったタイミングで、図表2のいずれかの方法で行ってみましょう。猫にとって排泄はとてもデリケートなもの。強引にやろうとすると、トイレに行かなくなる場合もあるので、様子を見ながら何度かトライするのがよいでしょう。

出所:『獣医さん、聞きづらい「猫」のことぜんぶ教えてください!』(日東書院本社)より抜粋 イラスト:たまゑ
[図表2]家での採尿方法 出所:『獣医さん、聞きづらい「猫」のことぜんぶ教えてください!』(日東書院本社)より抜粋
イラスト:たまゑ

どうしても難しければ膀胱穿刺という方法も

家での採尿がどうしても難しい場合、病院で膀胱穿刺を行う手もあります。おなかに針を刺して尿を取る方法で、触診しながら針を刺す方法と、超音波で確認しながら針を刺す方法の2種類があります。無菌状態の尿が採取できるので、細菌培養などが必要な場合にも有効です。安全に行えば正確な検査ができる方法ですが、出血など合併症のリスクもあるので獣医師とよく相談してください。

オス猫の場合は、尿カテーテルを行う場合もあります。比較的安全な方法ですが、カテーテル挿入時に尿道を傷つけないように行う必要があります。

直接手で膀胱を圧迫する方法もありますが、圧迫することで膀胱内の尿が逆流し、細菌が尿管や腎臓に運ばれるリスクがあるため、あまり行われません。

リスクが低いのはやはり家での採尿といえそうですね。小さいうちから慣れさせておくとスムーズかもしれません。

宮下 ひろこ

獣医師/動物病院専任カウンセラー